「〜ですが」や「〜がありますが」といった文で使われる「が」は、便利な逆接の接続詞です。しかし、主張したい文では「〜が」を使わない方が伝わりやすくなります。
それはなぜか? その理由は、逆接の「が」を使うと主張がぼやけるからです。
逆接の接続詞「が」を使うのは、文章として間違いではありません。しかし、「が」を安易に使うと主張がぼやけてしまいます。
【目次】
「が」アリと「が」ナシでは伝わり方が変わる
例文を4つ挙げるので、「が」アリと「が」ナシで、どちらが印象に残るか読み比べてみてください。
例文1
B:あまり自信はありません。でも、やってみます。
Aの文は、「自信がない」から「やってみます」が一文として続いているので、「やってみる」という主張が弱く感じないでしょうか?
Bの文では、「あまり自信がありません」とハッキリと不安を示しつつ、「でも」と逆接で言うことで、「やってみます」という意思が強調されています。
「あまり自信がありません。でも、やってみます!」と感嘆符をつけてみるとよくわかります。「あまり自信がないですが、やってみます!」だと、少し歯切れが悪いですよね。
例文2
B:デメリットもあります。しかし、それを上回るメリットがあります。
この文で伝えたいのは、「デメリットを上回るメリットがある」ということです。
Aの文では、デメリットとメリットが並列上で語られているので、デメリットを打ち消せていません。
Bの文では、「しかし」と接続詞で区切ることでデメリットが打ち消され、メリットに焦点が当たっています。
例文3
B:試合終了間際まで負けていました。しかし、選手の奮闘で逆転勝利しました。
Aの文では、一文が長めということもあり、伝えたいこたが少しぼやけた感じがします。最も伝えたいのは、負けている状況から逆転勝利したことです。
Bの文では、試合に負けたという事実でいったん文を区切りました。その後で、「しかし」と逆接を添えて伝えることにより、「逆転勝利した」という部分に焦点があたっています。
例文4
B:たしかにそういった噂はあります。ですが、それは間違いです。
AもBも「反論」という点では同じですが、Aは主張が弱い印象を受けます。
「ですが」を使った方が、「それは間違い」という事実が強調されるように感じませんか?
「噂はある」といったん事実を飲み込んでしまうことにより、「ですが」の後に続く反論が印象的になる、というニュアンスも感じられます。
このように、「〜ですが」「〜ますが」と一文で伝えるより、「です。しかし〜」「あります。ですが〜」といったん区切った方が、後文の主張が強くなります。
「が」を使うか使わないかは感覚的な部分でもあるのですが、この微妙な差で印象が変わるものです。「が」は便利な逆接の接続詞ですが、後文を主張したい時は邪魔になります。
「しかし」や「でも」といった逆接を使い、後文を際立たせた方が主張は伝わりやすくなるで、ぜひ意識して使ってください。
「が」は使い方が難しい格助詞
実は、「が」はすごく扱いが難しい格助詞です。「が」を使うか否かで文の意味が変わってきます。
たとえばこの例文。
B:彼が経営者だ
Aの文は、「彼はどんな人?」という問いにして、「経営者である」と答えています。
Bの文は、「経営者は誰?」という問いに対し、「彼が経営者である」と答えています。
ではこの文はどうでしょう。
B:彼が頼りになる
Aの分は、「彼はどんな性格?」という問いに対し、「頼りになる」と答えています。
Bの文は、「頼りになるのは誰?」という問いに対し、「(この件なら)彼が頼りになる」と答えています。
このように、同じような文でも「が」と「は」では全く意味が違います。使い方を間違えると、別の意味で伝わってしまうので、注意してください。