衍字(えんじ)とは?敷衍(ふえん)と衍文(えんぶん)の意味もまとめて解説

衍字(えんじ)と敷衍(ふえん)の意味を解説した図

文章の校正は、誤字・脱字・衍字のチェックと助詞(てにをは)の修正が基本となります。誤字脱字はわかるものの、衍字を知らない人も多いことでしょう

衍字と書いて「えんじ」と読みますが、そもそも読み方が難しいですよね。ちなみに、「衍」を含む言葉には、「衍文(えんぶん)」や「敷衍(ふえん)」といった熟語があります。

8年ライターをやっていて、仕事で衍字や敷衍という言葉を使ったことがないので、知らなくても仕事に支障はないかもしれません。しかし、校正作業に関係する言葉なので、覚えておきましょう。

衍字(えんじ)とは?

衍字は、「語句の中に誤って入った不要な文字」という意味です。

たとえば、「誤って」「間違った」「フリーランス」など、余計に入った文字のことを衍字と呼びます。

衍字は、文字が抜けている状態を表す「脱字」の反対語です。PCだとタイプミス、スマホだと入力ミスにより、誤って入った必要のない文字のことを、「衍字」といいます。

重要ポイント衍字:語句の中に誤って入った不要な文字

「衍(えん)」という字には、以下のような意味があります。

衍(えん)

1:余計な、余分にあまる
2:延び広がる、押し広げる

参考:衍(えん)とは – コトバンク

「衍」=「余計な」であるため、「衍字」=「余計な字」という意味になります。「衍」は常用漢字ではないため、耳馴染みがない方が多いかもしれませんね。

衍字と呼ぶかは微妙ですが、猫がキーボードの上を歩いたりしたときに、「衍字っっっっっっっっっっっ」みたいになってしまうことがあります。これくらいあからさまな衍字だと気づきますが、「衍字っ」くらいだと見落としてしまうかもしれませんね。

衍文(えんぶん)とは?

衍文(えんぶん)は、「文章中に誤って入った不要な文(語句)」という意味です。「衍文を除く」といった使い方をします。

衍字との違いは、余計な文字か余計な文(語句)であるかです。

重要ポイント衍文:文章中に誤って入った不要な文や語句

たとえば、「春はあけぼのやうやう白く〜」だと、「の」が衍字になります。

「春はあけぼのようようやうやう白く〜」だと、「ようよう」という余計な語句が入っているので、これは衍文です。現代語訳なら「やうやう」が衍文になります。

日常であまり使うことがない言葉ですが、PCやスマホの予測変換で余計な文や語句が入ってしまうことがあるので、気づかないうちに衍文をやってしまっている人も多いかと思います。メールやLINEで送信したあとに、余計な語句が入っていることに気づくことってありますよね。

敷衍(ふえん)とは?

「衍」を含む字に、「敷衍(ふえん)」という言葉があります。「布衍」や「敷延」とも書きます。

「敷衍」は、「意味を押し広める」という意味の言葉です。意味や考え方の解釈を広げ、さまざまな形に展開することを「敷衍」と呼びます。

また、「わかりやすく詳しく説明すること」という意味でも使います。意味がわかりにくい言葉や文を、例を交えて解説したり、かみ砕いて解説したりすることを「敷衍」と呼びます。

敷衍(ふえん)

1:意味を広めること
2:わかりやすく詳しく説明すること

参考:角川類語新辞典

Webライターの仕事と敷衍の関係

「敷衍」という言葉がおもしろいのは、Webライター業に深く関係している点です。

Webライターの仕事は、わかりやすい記事を書くことが求められます。たとえば、参考にしたネット記事や書籍の説明が専門用語が多くてわかりにくければ、わかりやすい言葉に置き換えて説明するのもWebライターの大事な仕事です。

Webライティングをするときに、「敷衍」という言葉を意識する人はほとんどいないと思いますが、実は無意識にやっていることなんですよね。Webライティングでは、専門用語が多く読解しにくい記事はよしとされないので、わかりやすい記事を書くために「敷衍」を意識しましょう。

校正の基本は誤字・脱字・衍字

文章を校正するさいに、余計な文字が入っていれば取り除く作業をすると思いますが、その状態を「衍字」と呼ぶことを知らない人が多いかと思います。まず「衍」が常用漢字でないので、読み方がわからないですよね。

誤字・脱字は校正の基本ですし、その言葉を知らない校正者はいないことでしょう。しかし、衍字だけが仲間はずれのように認知度が低いです。

とくに、Webライターで衍字という言葉を聞いたことがない人は多いことでしょう。わたしは8年Webライターをやっていて、ほかのライターさんが書いた記事の校正もしますが、仕事で衍字や敷衍という言葉を使ったことがありません。

衍字という言葉を使う機会は少ないと思いますが、校正の基本なので覚えておきましょう。

校正・校閲ツールで誤字・脱字・衍字を自動チェック

校正・校閲・推敲の時間を短縮するなら、「文賢(ぶんけん)」が便利です。SEO業界で有名なウェブライダーが開発した校閲・推敲支援ツールで、誤字・脱字・衍字のチェックだけでなく、わかりやすく文章にするためのアドバイスをしてくれます。ディープ・ラーニング(深層学習)の導入によって、人が書いた文章を自動でチェックしてくれる、すごいツールです。

月額費用(税込1,980円)はかかりますが、「文賢」を使うことで校正・校閲作業の時間が短縮でき、記事の精度向上も期待できます。校正・校閲を時短したいライターや校正者・校閲者におすすめのツールです。



ライターなら衍字・衍文・敷衍を覚えておこう

衍字・衍文という言葉を使う機会は少ないかもしれませんが、校正の実務では必ずやっていることです。読み方が難しいので、知っているだけで「おっ!」と思われるかもしれません。

敷衍についても、ライター業では「わかりやすく詳しく説明」する記事が求められるので、これも自然と行っていることかと思います。無意識にやっていたとしても、その行動に名前があるのがわかると、意識が変わりますよね。

ライターなら、衍字・衍文・敷衍の意味をぜひ覚えておきましょう。

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ケンタトニック(旧モジャー)
コンテンツSEOに強いフリーランスのWebディレクター/Webライター、フリー歴10年。 ディレクション受注実績:出版社、営業ツール、音楽スクール等のオウンドメディア運用・改善。
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