個人事業税がかからない業種は?基礎知識から課税・非課税の業種まで解説

個人事業税を計算する個人事業主
個人事業税はどれくらい稼いだら課税対象になるの?
コーダーやプログラマー、ライターは課税対象外ってホント?
支払った個人事業税は経費にしてもいいの?

本記事は、こうした個人事業税の疑問にお答えします。

個人事業税は、すべての個人事業主が対象というわけではありません。法定業種70種類に該当し、かつ所得が年間290万円以上である場合に個人事業税が課税されます。

Web系の仕事のうち、コーダーやプログラマー、ライターは課税対象外とされますが、それは本当です。コーディング業や文筆業は法定業種に含まれていないため、個人事業税の対象外となります。

ただし、これらの職種であっても、業務内容によっては法定業種に該当すると税務署に判断される場合があるので、注意してください。

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個人事業税とは?

フリーランスや個人事業主の場合、所得税以外に個人事業税が発生する場合があります。

個人事業税は地方税の一種で、個人で事業を営んでいる人に対して都道府県が課税する税金です。

所得税は国に納税しますが、個人事業税は地方に納税します。事業所が自宅とは別の都道府県にある場合の納税先は、その地方です。

個人事業税の課税対象となるのは法定業種(70種)のみで、それ以外の業種には課税されません。つまり、個人事業主であっても、業種によって課税・非課税が変わるということです。

個人事業税の対象者

個人事業税の対象となるのは、所得が年間290万円を越えている個人事業主です。

すべての業種が対象というわけではなく、70種類の法定業種(後述)に該当し、かつ所得が年間290万円以上である個人事業主が納税対象者となります。

  • 個人事業主である
  • 年間所得が290万円以上
  • 法定業種(70種類)に該当する

個人事業税には290万円の控除があるため、この額を越えていない事業主は納税の対象外となります。納税通知書が来なければ、対象外ということです。

個人事業税の申告方法

個人事業税の対象者は、前年1年間の事業所得を、翌年の3月15日までに都道府県税事務所に申告しなければなりません。申告書は各事務所のWebサイトでダウンロードできます。

ただし、所得税の確定申告を行っている事業主、または住民税の申告書を提出した事業主は、特に申請をする必要はありません。

確定申告をしていて、個人事業税の課税対象者となっている場合は、都道府県税事務所が計算して納税通知書が送られてきます。

青色申告をされている方がほとんどだと思うので、個人事業税に関しては特に申請を気にする必要はないでしょう。

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個人事業税の納税通知書が届くのは8月

個人事業税の納税通知書は、毎年8月に都道府県税事務所から送られてきます。

1期(8月末期限)と2期(11月末期限)の2回に分けて納税します。地方によっては一括納税か分割かを選べるようです。

初回納税者は送付が遅れる場合もあり、遅いと通知書が届くのが9月になることもあります
(その場合は納税期限も延長される)

8月に個人事業税の通知書が届かなかったからといって、油断してはいけません。以下の計算方法を用い、自分が納税対象者であるかを把握しておきましょう。

個人事業税の計算方法

所得は収入から経費を差し引いた金額なので、年収がそのまま個人事業税の課税対象になるわけではありません。また、所得から各種控除を差し引いた後の金額が課税対象となります。

個人事業税は、以下のように計算します。

【青色申告の場合】
(収入 − 必要経費 − 事業専従者給与 – 青色申告特別控除 – 各種控除) × 税率 = 個人事業税

個人事業税には290万円の控除(事業主控除)が適用されるので、それも差し引いた上で税額を計算します。

※各種控除
【繰越控除】
・損失の繰越控除
・被災事業用資産の損失の繰越控除
・譲渡損失の控除と繰越控除

【事業主控除】
・年間290万円
(事業期間が1年未満の場合は月割額)

個人事業税は経費にできる

所得税、消費税、住民税などは経費にはできません。

しかし、個人事業税は経費に計上できます。これは個人事業主の税金の中でも特殊な部類で、支払った個人事業主は翌年の経費に含めても大丈夫です。

個人事業税を経費にする場合の勘定科目は、「租税公課」になります。

70種類の法定業種と業種ごとの個人事業税率

個人事業税は、業種によって税率が異なります。

第1種事業(37業種):税率5%
・広告業 ・請負業 ・物品販売業 ・運送取扱業 ・飲食店業 ・料理店業 ・遊覧所業 ・保険業 ・金銭貸付業 ・物品貸付業 ・商品取引業 ・船舶定係場業 ・倉庫業 ・周旋業 ・不動産売買業 ・駐車場業 ・代理業 ・不動産貸付業 ・仲立業 ・興信所業 ・製造業 ・印刷業 ・問屋業 ・案内業 ・電気供給業 ・出版業 ・両替業 ・冠婚葬祭業 ・土石採取業 ・写真業 ・公衆浴場業(むし風呂等) ・電気通信事業 ・席貸業 ・演劇興行業 ・運送業 ・旅館業 ・遊技場業

第2種事業(3業種):税率4%
・畜産業 ・水産業 ・薪炭製造業

第3種事業(30業種):税率5%
・デザイン業 ・コンサルタント業 ・医業 ・歯科医 ・歯科衛生士業 ・歯科技工士業 ・薬剤師業 ・獣医業 ・公証人業 ・設計監督者業 ・公衆浴場業(銭湯)業 ・弁護士業 ・弁理士業 ・税理士業 ・公認会計士業 ・司法書士業 ・行政書士業 ・社会保険労務士業 ・不動産鑑定業 ・諸芸師匠業 ・測量士業 ・計理士業 ・理容業 ・土地家屋調査士業 ・美容業 ・海事代理士業 ・クリーニング業 ・印刷製版業

第3種事業(30業種)の中で、あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復 ・その他の医業に類する事業 ・装蹄師業は「税率3%」

個人事業税がかからない業種は?

上述したように、個人事業税の課税対象となるのは、法定業種70種類に含まれている事業主です。逆に言えば、法定業種に含まれていない業種は、課税非対象となります。

後述しますが、文筆業(ライター業)、翻訳業、漫画家、画家、音楽家(ミュージシャン)、スポーツ選手、芸能人といった職種は法定業種ではないため、個人事業税の対象外です。

ただし、業種の判断は各都道府県税事務所に委ねられるので、一概には非課税になるとは言えません

たとえば、画家は対象外でも、デザイナーやイラストレーターはデザイン業となるので課税対象です。画家が本業でも、デザインやイラストにかかる部分は課税対象になります。

自分の仕事が法定業種にあたるのか不明な場合は、管轄の税務署に問い合わせてみましょう。

個人事業税がかからない業種(Web・IT系)

ライター業は個人事業税の対象外

実は、執筆業・文筆業・ライター業法定業種に含まれていません。

つまり、ライター業は法定業種外であるため、個人事業税はかからないです。

「請負業」であれば課税対象になりますが、「ライター業」であれば課税対象外です。開業届で「ライター」や「Webライター」として届け出ているのであれば、個人事業税の対象外となるでしょう。

ただし、これは現時点での話で、「ライター業」が法定業種に含まれれば個人事業税の対象になりますし、「ライター業」と「デザイン業」の兼業である場合は課税される可能性があります。

また、「ライター業」と同時に「コンサルタント業」を営んでいるのであれば、課税対象になるかもしれません。「コンサルタント業」がメインで、「ライター業」を副業としているのであれば、個人事業税の対象となります。

コーディング業は個人事業税の対象外

Web関係の仕事だと、広告業やデザイン業が法定業種に該当します。Webデザイナーやイラストレーターなどはデザイン業なので、法定業種です。

注意したいのは、デザイン業務は課税対象であるのに、コーディングは非課税であること。

コーディング業務をメインとしているのであれば、法定業種に含まれないため、個人事業税の対象外となります。「コーディング業」で業種を申請していれば、おそらく課税はされないでしょう。

ただ、これは税務署による判断も加味されるため、業務内容によってはコンサルタント業やデザイン業とされ、課税対象となる場合もあります。

難しいのは、Webデザインとコーディングのどちらも請け負っている場合です。

Webデザイナーと名乗れば課税されますし、コーダーと名乗れば非課税となるため、どちらを選択するかで税金額が変わってきます。コーディング業の割合が多いのであれば、コーダーと名乗った方がいいかもしれません。

また、クライアントとの契約内容にもよります。デザイン業務の契約なのか、それともコーディング業務の契約なのか、受注前に明確にしておきましょう。

エンジニアやプログラマーも個人事業税がかからない?

エンジニアやプログラマーもコーディング業であるため、法定業種に該当しません。コーディング業務をメインとしているのであれば、個人事業税はかからないでしょう。

「業務委託契約」や「準委任契約」であれば、原則として個人事業税はかかりません。しかし、契約形態が「請負契約」である場合、「請負業」となるため、個人事業税の対象となります。

また、業務内容によっては「請負業」や「コンサルタント業」と判断されるかもしれません。サイトやアプリのデザインも請け負っているなら、「デザイン業」と判断される可能性もあります。

ここらへんは管轄の税務署によって変わるので、一口にエンジニアといっても判断が難しいところです。業務内容がコンサルタントが主であるなら、「コンサルタント業」とみなされる可能性もあるでしょうし。

都道府県税事務所から届く「個人事業税のお尋ね」

都道府県税事務所が個人事業税の対象者であるかを判断するために、「個人事業税のお尋ね」という書類を送ってくることがあります。これは事業内容を確認し、法定業種か業種外かを判断するためです。

質問の内容は都道府県税事務所によりますが、事業内容を尋ねてきます。事実の通りに書いておけば問題ないですが、不明な点があると電話での確認もあるようです。

ただし、上述したようにコーディング業や文筆業は課税対象外ですので、下手に回答すると、業務内容的に個人事業税の対象外なのに、対象者とみなされる可能性があります。

「個人事業税のお尋ね」での回答次第で個人事業税の課税が判断されるので、適当に書かないようにしましょう。

個人事業主税を予定しておかないとえらい目に遭う…

個人事業税は、2〜3月に確定申告を済ませてから約半年後の8月に届きます。忘れた頃に「個人事業税を払えよ」という通知が来るので注意しましょう

確定申告で「納税が済んだ!」と思ったら、また半年後に「納税せえよ」って通知が来るのですから、忘れていたらえらい目に遭います…。

個人事業主には、所得税、住民税、消費税、個人事業税、健康保険料、国民年金など、いろいろな税金や保険がかかります。会社員だと保険料は会社が半分負担してくれますが、個人事業主は全額払うので結構きついですね…。

しかも、自分で帳簿管理や確定申告をしなければいけないので大変です。雑務に時間を取られるのはもったいないので、「freee」のような自動で会計処理ができるソフトの使用をおすすめします。

個人利用であれば月額980円〜利用できるので、税理士に依頼するよりもだんぜん安いです。確定申告の書類作成にも対応しているので、経理にかかる時間と手間を大幅に節約できます。

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ケンタトニック(旧モジャー)
コンテンツSEOに強いフリーランスのWebディレクター/Webライター、フリー歴10年。 ディレクション受注実績:出版社、営業ツール、音楽スクール等のオウンドメディア運用・改善。
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