Webライターとして開業する前は、HMVの契約社員として働いていました。仕事は楽しかったのですが、将来性とかいろいろ考えて退職をすることに。
CDショップで働いてどうだったのか。実際に働いてみて感じたメリットとデメリットを綴ります。どこに需要があるかわからない記事ですが、何の仕事をしようか迷っている方など、誰かのお役に立てれば。
【目次】
CDショップで働くまでの経緯
大学卒業後、某大手家電量販店のAVコーナー(CD・DVD・おもちゃを扱っているコーナー)でバイトをしていました。CDショップで働きたかったのですが、応募していなかったので家電量販店でバイトしながら待つことに。
10ヵ月くらい働いたくらいにCDショップの契約社員の募集を見かけ、早速応募。ショッピングモール内にあるCDショップで、面接はラフな感じでした。
面接は苦手だったのですが、なぜか採用してもらい働くことに。そのCDショップはピンクか黄色か、どっちかということだけ言っておきましょうか(冒頭でHMVって書いたけど)。
CDショップで働くメリット1:いろいろな音楽に出会える
これは一番のメリットだと言っていいでしょう。ジャンル問わず、日々いろいろな音楽に出会えるのはCDショップで働く最大の魅力。
働く前は邦楽と一部の洋楽くらいしか知らなかったですが、退職するころにはジャズも聴くようになって音楽の幅が広がりました。
中でも一番の出会いがSigur Ros。ポストロックに出会ったことで自分の音楽の好みがはっきりしました。どうもポストロック〜エレクトロニカあたりの音の響きが綺麗な音楽が好きなようで、これだけでもCDショップで働いてよかったなと思います。
働いているときはロック、ジャズ、映画DVDと複数のジャンルの担当をしました。裏方で作業することが多かったのですが、いろいろなジャンルの音楽に出会えるのは本当に楽しかったです。
CDショップで働くメリット2:CDのサンプルをタダでもらえる
CDショップで働くとね、CDのサンプルをタダでもらえるんですよね。これはほんとおいしい。そのCDが欲しい人が複数人いるともらえないこともありますが、基本的にいろいろ余っているので持ち帰り放題です。
もちろん転売はNGですし、バレて大変ことになった人もいましたが、そんなことはもちろんしません。サンプルCDには番号が振ってあるので転売したらメーカーにバレますけどね。
いまもCDサンプルは持ち帰りOKなのですかね。だったらまた働きたいかも。
CDショップで働くメリット3:仕事が楽しい
音楽が好きならCDショップで働くのは楽しいはず。私もそう思って働き始めました。そして実際、仕事は楽しかったです。
面倒くさい仕事もありましたが、新譜におすすめキャプションを書いたり、POPを作ったり、いろいろ工夫して売り場作りをするのは楽しかったです。
インストアライブの準備をしたり、アーティストの方と話ができるのも良かったことですね。
学生時代に好きでコピーバンドをしていたSound Schedleのヴォーカルの大石昌良さんが、働いていた店でインストアライブをするということで、お会いして握手とサインしてもらえました。サインしてもらったCDはいまも大事にとってあります(サインもらうとき手震えましたけど)。
大石さんは『けものフレンズ』の楽曲を手がけてアニメ業界でも有名になりましたね。ニコ動でご自身で歌っているのを聴きましたけど、いやー、うまい。いい声。やっぱいいなぁ。
CDショップで働くメリット4:いま売れている音楽がよくわかる
働いているときは意識しなくても売れている音楽が耳に入ってきましたが、辞めてからぱったりとトレンドに鈍感になりました。いま売れてる音楽が全然わかんねー!
好き嫌いに関わらず、売れている音楽を聴くのも大事ですよね。なぜ売れているのかと考えるのも楽しいですし、別に好きでなくとも売れている理由が納得できるアーティストもいます。
辞めてから自分の好きな音楽しか聴かないようになったので、全然音楽の幅が広がりません。やっぱり仕事と趣味は違うので、興味ないジャンルの音楽は聴かなくなりますよね。
CDショップで働くメリット5:音楽好きの集まりなので話が弾む
私はコミュニケーションが苦手で、いわゆる自称コミュ障なのですが(コミュ障は言い訳でもありますが)、CDショップのスタッフはみんな音楽好きなので、自然と会話が弾みます。
それぞれ好きなジャンルの音楽は異なりますが、趣味が合う人と、好きなバンドやアーティストの話をするのはまあ楽しい。コミュ障でも会話には困らないですよね。
同じポストロック好きの先輩にはおすすめのバンドをたくさん教えてもらったので、いろいろなバンドと出会うことができました。やっぱりCDショップで働いている人はマニアなほど音楽詳しい。
好きなことが共通していると会話は弾みますよね。コミュ障でも好きな話題なら饒舌になる。
CDショップで働くデメリット1:給料が安い
たぶんどこのCDショップもそうだと思いますが、基本的に給料は安いです。私は契約社員でしたが、給料はバイト並みでした。社会保険があったのでバイトよりは待遇は良かったですが。
正社員登用されてもそれほど給与が上がるわけではないので、ずっとCDショップで働き続けるのは厳しいと思います。
給料が安いのは辞めた大きな理由です。まだ20代で好きな仕事をやりたいというのがあって働いていたのですが、30代になったときのことを考えると、この給料でやっていうのは無理!と思いました。
CD業界が不景気なので仕方ないですけどね。私が働いていたころよりさらに厳しくなっていると思います。
最初から3年働いてからその先のことを考えると決めていたので、3年を節目に転職を考えました。できればもうしばらく働きたかったのですが、20代後半になっていたのでそれ以上の年数をCDショップで過ごすのは厳しいかなと。
正社員は転勤を余儀なくされる会社だったので、それも辞めた大きな理由です。1年で店長が3人も代わりましたからね。正社員の方はあちこち異動させられて大変そうで、いつも「非効率な配属だなあ」と思っていました。
CDショップで働くデメリット2:何か技術が身につくわけではない
CDショップの店員は技術職ではないので、何か技術が身につくわけではないのはデメリットかなと思います。手に職をつけたいから働いていたわけではないですが、将来を考えると技術が身につかないのは不安がありました。
とはいうものの、CDショップの仕事でやっていたキャプションの書き方とか、キャッチコピーの付け方とかは、ライターの仕事に活かせている部分はあります。いま思えばCDショップで働いた経験から、文字に関わる仕事が自分に合っているのかなと思ってWebライターの道に進んだのかもしれません。
あと、入社前はパソコンを全然使えなかったのですが、職場の人に教えてもらったりしながら、パソコンの使い方を学んでいきました。その時は自分がWeb業界で働くことになるとは思わなかったのですが、がっつりフリーランスのWebライターをやっています。
どんな職場でも、自分が学ぶ気があればその後の職に活かせるのではないでしょうか。
CDショップで働くデメリット3:将来性が期待できない
私が働いていた10年くらい前ですでにCD業界が低迷していたので、いまはもっと厳しくなっているでしょう。将来性が期待できないというのは、その業界で働く大きなデメリットです。
CDショップの店員は売る側であって音楽を作れるわけではないので、業界の中でできることは限られます。CDショップから口コミで広がっていくバンドやアーティストもいますが、いまのご時世、YouTubeなどの動画共有サービスやSoundCloudなどの音楽共有サービスのほうがその可能性は高いですよね。
音楽のデジタル化が進むにつれ、CDショップは経営が厳しくなっていくのは仕方ないことですよね。私は3年間で3店舗経験しましたが、働いていたお店は辞めた後に縮小したり、閉店したりしています。働いていたお店がなくなるのは寂しいものです。
CDショップを辞めた理由
CDショップを辞めた一番の理由は、CDの売上が低下し、市場が縮小していたことです。給料が高いわけではないし、年々CDの売上が落ちているので、将来性を感じられませんでした。
もともと、3年だけ働くと決めていたというのもあります。CDの売上が下がり始めている時期に入社したので、自分的にはギリギリのタイミングだったと思っています。
しかし、できれば本業の傍ら、バイトでもう一度働きたいと思うくらい、CDショップで働くのは楽しかったです。接客が苦手なのでそこは辛いところですが、毎日音楽に触れられるのは楽しくて仕方ありませんでした。
CDショップで働かなければ出会えなかったバンドやアーティストはたくさんいるので、働いてよかったと思っています。
私が考えるCDショップの役割
CDショップの役割って、CDを買うというワクワク感を売ることだと思うのです。CDショップに行かずともiTuneなどでダウンロードすれば簡単に音楽を購入できますが、そこにCDを買ったときのワクワク感はありません。
デジタル音楽を否定しているわけではなく、CDの役割とは別のところにあると思います。CDはコレクションという役割もありますが、バンドやアーティストがこだわって作ったジャケットや歌詞カードを手で触れて楽しめるのがCDの良さです。デジタル音楽ではどうしたってそれを体験できませんよね。
以前と比べてCDを買う機会は減りましたが、いまでも大好きなバンドやアーティストはCDを買いますし、CDを開封して聴くときのワクワク感も楽しんでいます。CDを買ってもパソコンに入れたらCD自体はもう使いませんが、Dを持っているという満足感もありますしね。
中学高校のときは、よく友達とCDの貸し合いをしました。限られたお小遣いで友達と協力して音楽の幅を広げていくという、あの楽しいやりとり。これもデジタル音楽では失われてしまったものでしょう。
それはCDに限らず、書籍のデジタル化も同じかもしれません。紙の本を手でめくっていく感触は、デジタル書籍では味わえないものです。
おわりに
ものっすごい狭い層に向けて書いた記事ですが、私の中でCDショップで働いたことは良き思い出になっているので、せっかくなので記事に書いておこうと思いました。私は将来性などを考えて別の仕事をすることにしましたが、働き続けられたら良かったなとも思います。
20代なら、やってみたい仕事をとりあえずやってみるのもいいのではないでしょうか。その仕事で一生食べていきたいと思えればそれでいいですし、もし将来性に不安を感じたり仕事としては合っていないと思ったりしたら、また別の仕事を探せばいいのですから。
自分のやりたい仕事で、かつ自分に合っている仕事というのはなかなか見つからないものですが、やってみたいからやってみるのもひとつの選択です。