ランサーズに登録して受注しはじめた方の最初の目標は、なんといっても「認定ランサー」になることでしょう。あこがれや「仕事、増えるかも」という期待で胸が躍りますよね。
実際のところ、認定ランサーになるとお仕事が増えるのでしょうか?そもそも認定ランサーって、カンタンになれるものなのでしょうか?
じつは認定ランサーになる難度は、そんなに高くありません。なので残念ながら、認定ランサーになったからといって劇的にお仕事が増えることはないです。
じゃあ、認定ランサーになる意義はないのでしょうか?
本稿では、ボクの体験談を交えながら「認定ランサーのメリット」や「認定を目指すために大切なこと」をお伝えしようと思います。初心者ランサーさんの参考になれば幸いです。
【目次】
ランサーズの「認定ランサー」とは?
ではさっそく、認定ランサーの概要と、ボクが認定ランサーになって感じたことからお伝えしたいと思います。
認定ランサーの概要
そもそも「認定ランサー」とはなんでしょうか。
まずは、ランサーズ社が「認定ランサー」をどのように定義しているのか見てみましょう。以下は、ランサーズ公式サイトからの引用です。
「認定ランサー」とは、ランサーズに登録しているプロの中から、ランサーズが定める基準をすべて満たしたランサーを指します。全てのスキルのランサーが対象です。
ランサーズでは、フリーランスのことを「ランサー」と呼んでいます。ランサーには、実績に応じて以下の4つのランクのどれかが付与されます。
レギュラー | プロフィールの記入・本人確認・機密保持確認が完了しているランサー |
---|---|
ブロンズ | プロジェクト方式の仕事を受注した実績があるランサー |
シルバー | クライアントからの評価・納品率・メッセージ返信率が高いランサー |
認定ランサー | 下位ランクの要件を満たし、かつ報酬額が上位20%以内のランサー |
「認定ランサー」はランサーの最高ランクで、各種ページで公開されます。認定ランサーになるには、ランサーズの定義にあるとおり諸条件(後述します)をクリアしなければなりません。
その諸条件はそれほど厳しいものではないので、丁寧な仕事をつづければクリアできるでしょう。それゆえ認定ランサーはゴロゴロいるので、任命されただけでは特別有利にならないのです。
認定ランサーは、各職種に設けられたカテゴリごとに認定されます。
一人のランサーが複数のカテゴリで認定されているケースもよくあります。
認定ランサーになってみて思うこと
ボクは、本格的にライターをやりはじめて4か月目に認定ランサーになりました。そのときの総報酬額と認定カテゴリは、以下のとおりです。
- 職種:ライター
- 報酬合計:56,435円
- カテゴリ:記事作成・ブログ記事・体験談
認定ランサーになるのはそれほど難しくなくて、なる前とあとで「大きな違いはない」と感じています。せいぜい「ちょっとマシになったかな?」と思う程度です。
ではなぜ、認定ランサーの任命がサクセスストーリーの萌芽(ほうが)にならないのでしょうか。
クライアントがランサーを評価する項目はたくさんあります。いくつか例をあげてみましょう。
- ランサーランク
- 受注実績
- 過去の評価
- 本人確認が取れているか
- 執筆実績のある業種
- 性別と年齢
- 実務経験
- 資格
- SNSのフォロワー数
- ポートフォリオ
どの項目を評価するか、各項目の配点をどうするか、それはクライアントの胸三寸です。実績や評価を最重要視する人もいれば、実務経験を重んじる人もいます。
少なくともひとつの評価項目のみで判断するクライアントはまれで、複数項目を総合評価するケースがほとんどでしょう。だとしたら、ランサーランクも軽視できません。
認定ランサーであるということは、わずかであっても「加点評価」です。そういった加点の積み重ねが臨界点を超えたとき、引っ張りだこのライターになれるのではないでしょうか。
もうひとつ。認定ランサーになると露出が増えるので、それは大きなメリットだと感じます。詳しくは、後述します。
ランサーズが定める「認定ランサー」の認定基準
つづいて、認定ランサーの認定基準をご紹介します。認定ランサーになるためには、以下の7つの基準をクリアしなければなりません。
- 仕事を受注してから納品を完了させた割合が90%以上
- 過去1年間の平均評価が4.8以上
- 過去1年間の報酬額が上位20%以内
- メッセージ返信率 (24時間以内) が80%以上
- 継続して活動している(最終ログインが1か月以内)
- 重要なプロフィールの入力が済んでいる
- 本人確認、電話番号確認、機密保持確認、ランサーズチェックを実施済み
この7つを総合して意訳すると、認定ランサーとは「仕事の質が良く、確かな実績を持っていて、安心感があるランサー」ということになります。
とは言え(1)(2)(4)はシルバーランクになる時点で必須の要件であり、(5)(6)(7)はレギュラーランクから必須です。「シルバー ⇒ 認定ランサー」で必要なのは、実質的に(3)だけです。
それぞれ、もう少し詳しく解説しましょう。
認定ランサーに求められること(1):仕事の質が良い
認定基準のうち仕事の質と関連するのは、以下の2項目です。
- 仕事を受注してから納品を完了させた割合が90%以上
- 過去1年間の平均評価が4.8以上
納品の完了率は、プロジェクト方式とタスク方式の仕事が対象です (コンペ方式は対象外)。それぞれの完了率は、以下の式で計算します。
プロジェクトの仕事完了率 = 納品まで完了した仕事の数 ÷ 受注した仕事の数
タスクの仕事完了率 = 完了登録したタスクが承認された数 ÷ 引き受けた作業の数
プロジェクト方式の完了率は、問題なくクリアできるでしょう。受注したのに納品に至らないなんて事故は、そうそう起こりません。
意外と苦労するのは、タスク方式のほうです。こちらは、承認されないと納品が成立しません。発注者の意図に合わないものを提出してしまうと、修正の機会なしで即非承認になります。
タスク方式の完了率は、1件以上タスク仕事をした方のみ認定条件に加わります。
お仕事を請けるときに、完了率とあわせて気をつけたいのが「評価」です。過去1年間の平均評価が「4.8以上」ないと、シルバーランク以上になれません。
とは言え、発注者の意図に合ったものを納品したら、たいていは「5点満点」の評価がもらえます。トラブルさえ起こさなければ、そんなに苦労しないでしょう。
認定ランサーに求められること(2):確かな実績を持っている
認定基準の中で実績に関連する項目はひとつ。「過去1年間の報酬額が上位20%以内」です。これはクリアに時間がかかるうえ、相対評価ですからクリアできない人も出てきます。
この要件に取り組むうえで覚えておきたいのは、以下の2つです。
- 過去1年間の報酬額がカテゴリの中で上位20%以内であること
- ボーダーラインとなる基準報酬額は公表されていない
認定ランサーは職種ベースで与えられるものではなく、職種ごとに設定されたカテゴリベースで付与されます。後述しますが、ここに認定ランサーへの道程をショートカットするヒントがあります。
具体的な金額は公表されていませんが、受注数10件未満でも認定ランサーになっている方がいます。しっかり受注できたら、数か月でクリアできるでしょう。
認定ランサーに求められること(3):安心感がある
認定基準のうち、安心感と関連するのは以下の4項目です。
- メッセージ返信率 (24時間以内) が80%以上
- 継続して活動している(最終ログインが1か月以内)
- 重要なプロフィールの入力が済んでいる
- 本人確認、電話番号確認、機密保持確認、ランサーズチェックを実施済み
過去にランサーズ社が多くのクライアントに「ランサー様に何を求めますか?」と質問したそうです。その際に「クイックレスポンスが安心に繋がっている」ことがわかりました。
ランサーズの公式サイトに載っている、クライアントの声を引用しておきましょう。
- ・とにかく連絡が欲しいです。WEBなので。可能であればそれも早く。
- ・コミュニケーションを頻繁に取って欲しいです。顔が見えないので
- ・疑問を残さない様に対応いただけるランサー様はやっぱり安心します。
- 出典:ランサーズ「返信率の定義を教えてください」
このような調査にもとづき、ランサーズ社は「メッセージ返信率 (24時間以内) が80%以上」を認定ランサーの要件にしています。じつはこれが意外と大変で、理由は後述します。
なお、この要件は「メッセージの返信を5件以上おこなっている方」のみ対象です。
認定ランサーに求められること(4):4つの承認と6つのプロフィールを満たしている
最後にご紹介する認定基準は、4つの承認と6つのプロフィールです。
4つの承認とは「本人確認、電話番号確認、機密保持確認、ランサーズチェック」のことで、すべて完了させておかないとレギュラーランクにもなれません。
ランサーズチェックは、質問形式で問答するチェックテストです。「1日の作業時間」「著作権などの知的財産権についての理解」「個人情報保護について理解」など、10項目の質問に答えていきます。簡単にできるので、まだ済んでいない方は、以下のリンクからチェックを受けてみてください。
同じくプロフィールも、以下の項目の登録を済ませておかないと、レギュラーランクにもなれません。
- 表示名
- プロフィール写真
- 自己紹介文(300文字以上)
- ビジネス経験
- 資格
- スキルセット / ポートフォリオ / 出品サービス
ちなみに「プロフィールが充実しているほど、受注率が高い」というデータがあるそうです。
過去の受注データを分析した結果、プロフィールが充実しているほど、受注率が高いことがわかっています。
なお、認定ランサーの基準を満たさなくなるとシルバーランク以下に降格します。あぶないときは事前にランサーズから忠告メールが届くので、内容を確認して対応するとよいでしょう。
【経験談】「認定ランサー」になる3つのメリット
つづいて、認定ランサーになるメリットをご紹介します。個人的な経験やランサーズの公式発言から考えると、認定ランサーには以下の3つのメリットがあるように思います。
- やや受注しやすくなる
- 露出が増える
- 手厚いサポートが受けられる
順番に、もう少し詳しく解説します。
やや受注しやすくなる
先述のとおり、認定ランサーになったからといって受注数が激増するわけではありません。クライアントからすると、認定ランサーは様々な評価項目のうちのひとつでしかないのです。
とは言え、認定ランサーになればエンブレムが付与され、検索ページやプロフィールページなど各種ページに表示されます。これは、少なからずクライアントへのアピールになるでしょう。
詳細に「シルバーランクと認定ランサーの違い」をチェックするクライアントはいないでしょうから。過大に、認定ランサーに対して安心感を持つクライアントもいるでしょう。
露出が増える
クライアントが「ランサーを探す」で検索した際、認定ランサーは上位表示されやすくなります。これが「認定ランサーになる一番のメリット」と言ってもいいでしょう。
さらに、詳細検索から「認定ランサー」で絞り込み検索されると、シルバーランク以下は表示されません。スカウト(直接依頼)を狙うなら、認定ランサーになるほうがダンゼン有利です。
ちなみにランサーズ社によると、発注者側に送られるメルマガ内でも「おすすめランサー」として紹介されるそうです。
手厚いサポートが受けられる
これも未確認ですが、ランサーズ社によると、認定ランサーは以下のサポートが受けられるそうです。
- おすすめ案件を紹介してもらえる
- サポートに優先対応してもらえる
- チャットサポートが受けられる
公式サイトによると、認定ランサーはおすすめ案件を紹介してもらえるようです。
認定ランサーは、ランサーズ案件担当から案件を紹介されます。高単価案件や発注につながりやすい案件など、おすすめ案件多数です。
個人的には、ランサーズから2回ほどスカウト(直接依頼)をいただいています。あれが「案件の紹介」に該当するのかわかりませんが、どちらにしても活発に紹介してもらえる印象はないです。
サポートに関しては優先対応してもらえたり、チャットが利用できたりするそうです。個人的には未利用ですが、いざというときは心強いメリットではないでしょうか。
「認定ランサー」に認定されるための3つのポイント
最後に、認定ランサーになるためのコツをご紹介します。個人的には、以下の3つがとても大切だと感じています。
- クライアントからの返信は24時間以内に返す
- ひとつのカテゴリにしぼって受注する
- クライアントの期待値を超える仕事をする
順番に、詳しくご説明します。
クライアントからの返信は24時間以内に返す
意外と苦戦するのが、今からご紹介する「メッセージ返信率」です。「過去1年間に相手に返信したメッセージ」のうち「24時間以内に返信したメッセージ」の割合が、80%以上ないといけません。
ただし、以下は対象外です。
- メッセージの返信が5件未満の方
- 既読スルーしたメッセージ
- 返信依頼ラベルがついていないメッセージ
この要件は、メッセージの返信を5件以上おこなっている方のみ対象となります。迷惑メッセージやダイレクトメッセージなど、既読スルーした(返信しなかった)ものは対象外です。
気をつけたいのは3番目の「返信依頼ラベル」です。ご存じのとおり、ランサーズのメッセージは「返信不要」の意思表示ができますが、それを忘れることが多々あるのです。
たとえば、コミュニケーションを大切にされていて「返信不要」の意思表示に無頓着なクライアントと会話すると、こんなことが起こります。
- 発注者「明日までに納品できますか?」
- 受注者「では、本日18時に納品します」
- 発注者「よろしくお願いします」
- 受注者「承知しました」
- 発注者「助かります」
- 受注者「お任せください」
「よろしくお願いします」や「助かります」のタイミングで、返信不要欄にチェックを付けてくださればいいのですが。意識しておられないものですから、他愛もない会話がつづくことに。
そんなときは、メッセージの最後に「(返信不要です)」を付けるといいでしょう。
それでも相手からの返信が止まらないようであれば、返信率のことを丁寧に説明しましょう。先方に事情を知ってもらえば、次回から「返信不要」にチェックしてくださるかもしれません。
ひとつのカテゴリにしぼって受注する
認定ランサーは、各職種に設けられたカテゴリごとに認定されます。ですから、できるだけカテゴリをしぼって受注するといいでしょう。
カテゴリをしぼり込む際は、付加価値が提供できるものを選ぶとよいです。競合ランサーより報酬額を高くしやすいので、要件の達成が早くなります。
たとえばボクはブロガー出身なので、執筆だけでなくキーワード選定やワードプレス入稿ができます。ですから、ライターの「記事作成・ブログ記事・体験談」カテゴリに集中しました。
集中するカテゴリが決まれば、あとはとにかく受注を増やすだけ。まずは提案数を増やすのが、受注増への近道です。
クライアントの期待値を超える仕事をする
シルバーランクや認定ランサーは「過去1年間の平均評価が4.8以上」必要です。とは言え、ちゃんとクライアントの要望を満たせば5つ星(★★★★★)をもらえることが多いので、心配は要りません。
ランサーズでは、クライアントが先にランサーを評価したあと、ランサーがクライアントを評価する仕組みです。これにより、クライアントには(返報性を期待したり、報復評価を恐れたりして)低評価を付けにくい心理が働きます。
とは言え、クライアントに不満を与えるようでは「4.8以上」をキープすることは難しいでしょう。
ちゃんと仕事するのは、当然。あなたが提供できる価値とクライアントの要望がミスマッチする仕事はなるべく請けない、という姿勢も大切かもしれません。
なお、評価については星だけでなくコメントも大切にしたいところです。「コメント=お客様の声」ですから、ベタ褒めのお言葉をたくさん頂戴できれば、コメント欄があなたの財産になります。
これまで取引がないクライアントがあなたに興味を持ち、実績・評価のコメント欄を見てくれたらチャンスです。過去の努力が、現在のあなたを助けてくれるでしょう。
おわりに:認定ランサーのハードルは高くない
認定ランサーになるために、テクニカルな施策は要りません。たくさん提案を出したり丁寧に仕事をしたり、常識的に考えてやるべきことをやれば、いずれ認定ランサーになれます。
残念ながら、認定ランサーになることが劇的な受注増につながるわけではありません。ですが、認定ランサーは多少でも加点評価され、スカウトの前提となる露出が増えることは確かです。
とくにランサーズに登録したての方には、とてもよい目標になると思います。フリーランス人生の最初のマイルストーンとして、認定ランサーを目指してみてはいかがでしょうか。