読めるか!ってツッコミたくなる読みづらい難読漢字まとめ【重版出来、所謂、湯湯婆…etc】

イレギュラーな読み方の難読漢字

日本語には読みづらい難読漢字がたくさんありますよね。素直に読みを覚えればいいのですが、中には「読めるか!」とツッコミたくなる漢字もあります。個人的に読み方が納得できないイレギュラーな読み方の難読漢字をまとめたので、漢字の勉強がてらご覧ください。読み方の由来についてもわかる範囲で解説します。

【重版出来】
読み:じゅうはんしゅったい

初版の発行部数を上回り、追加印刷すること。つまり、「重版するくらいの出来」という意味です。

「重版(じゅうはん)」はまだわかります。「出来」を「しゅったい」と読むのは納得がいかない。もともとは「しゅつらい」という読みで、「しゅったい」に変化したとか。誰だ、余計なことしたやつ。

出版業界では実務で「でき」と読むことが多いという話も。…………じゃあもう「じゅうはんでき」でいいじゃん…。わかりにくいから「重版御礼」とかにすればいいのに。

【科白】
読み:せりふ

科白と書いて「せりふ」と読む。無理です、初見では読めません。

「せりふ」は台詞という漢字がありますが、よく考えてみればこれも本来の漢字の読みと一文字も合っていない。知らなきゃ読めん。

科白を「せりふ」と読むのには理由があって、「科」には「芝居の動作」という意味が、「白」には「告白」や「自白」など「話す」という意味があることから、「せりふ」という読みが当てられたとそうです。

【出会す】
読み:でくわす

「偶然に出会う」という意味ですが、なんで「会す」を「くわす」と読ませる?無理な読みをつけるなら「邂逅」でいいじゃん。「邂逅」は文字数が多いから「出会す」でいいんだけど。

【出納】
読み:すいとう

なんでその読み方になった?の代表例ともいえる漢字。「すいのう」ではなく「すいとう」と読ませる絶妙なイレギュラーさ。学校のテストでよく出題されるので、無意識のうちに覚えました。

「出納なんて使わねーよ」と思っていましたが、フリーランスになって自分で帳簿管理をし始めたところ、「出納帳」を使う自分に気づきました。役立ってるじゃねえか。

【所謂】
読み:いわゆる

「謂」は「いい」と読みます。意味は「〜と言う意味」。送り仮名をつけると「謂れ(いわれ)」という読み方になります。

所と組み合わさると「所謂(いわゆる)」という読みになる、難読漢字のひとつ。「謂れ(いわれ)」という読み方があるものの、「謂」が後ろであるにも関わらず「いわ」の読みが先に来ているという矛盾。

「いわゆる」という意味の連語「謂う所の」では「謂れ」が先に来ますが、「所謂」になると「所」が先に来る謎仕様。「謂所」の方がまだ納得できる。

余談ですが、「所有」は「あらゆる」とも読むそうです。「所謂」と同じ系統の読ませ方ですね。

【百舌鳥】
読み:もず

「百舌鳥」はスズメ目モズ科モズ属の鳥類。そんなことより字数と読みが合っとらん。どこまでが「も」でどこまでが「ず」なんだ。

「百舌鳥」は他の鳥の鳴き声を真似ることから、その名がついたとされています。「百」は「もも」とも読み、「非常に多い」という意味があるそう。ということは、ふりがなは「百舌」が「も」で、「鳥」が「ず」になるのかしら。「ももず」では歯切れ悪いしね。そもそも「鳥」を「ず」と読ませるのも謎だけど。

【心太】
読み:ところてん

「心太」と書いて「ところてん」。これぞ「読めるか!」とツッコみたくなる漢字の代表格。「心が太い」がなぜ「ところてん」になるのか謎すぎる。

昔はそのまま「こころふと」と読んでいたそうです。原料の天草を「凝海藻(こるもは)」と呼んでいて、凝ったものを「こころふと」と呼び、そこから「こころたい」→「こころてい」→「こころてん」→「ところてん」になったという説があります。

なるほど、「こころふと」を崩して読むと「ところてん」になるのね。無理がありすぎる…orz

【黒子】
読み:ほくろ

「黒子」は「くろこ」と読む際は、「歌舞伎の後見が着る黒い装束」を意味します。「ほくろ」と読む際は、皮膚にある黒い斑紋を指します。

もともと、「黒子(ほくろ)」は母体から不純物という考えから「母糞(ははくそ)」と呼ばれていたそう(ひどい名称…)。黒色であることから「ははくろ」になり、そこから「ほーくろ」→「ほくろ」になったとか。

「ははくろ」と「ほーくろ」の間、なんかすっ飛ばしてないか…?とりあえず「母糞」のままじゃなくてよかった。

【湯湯婆】
読み:ゆたんぽ

「湯湯婆」と書いて「ゆたんぽ」。…「ゆゆばあ」じゃねえのかよ。『千と千尋の神隠し』に登場する「湯婆婆(ゆばーば)」と一文字違い。

「湯婆」だけだと「たんぽ」と読みます。「湯(ゆ)」+「湯婆(たんぽ)」で「ゆたんぽ」。「湯婆」は、京阪地方で酒を温めるのに用いる筒形の銅製の器とのこと。「婆」は「母親」や「妻」という意味。

【美人局】
読み:つつもたせ

「美人局」は、夫婦が共謀し、妻が男性を誘惑して金銭をだまし取る行為(詐欺・恐喝)のことです。マンガやドラマでよく見る、「ワレ、わしの女に何しとんじゃ」と脅すやつですね。

もともとは「筒持たせ」と書き、サイコロ博打で使う筒が語源のようです。「美人局」と書いて「つつもたせ」と読ませるのは当て字とのこと。

漢字だけ見ると美人がたくさんいるテレビ局という意味に捉えてしまいそう。美人な局アナに近づく時は気をつけろという意味ですね(全然違う)。

【鳩尾】
読み:みぞおち

「鳩尾(みぞおち)」は、胸骨の下のくぼんだ所にある部位。「鳩」の「尾」と書いて「みぞおち」と読ませる難読漢字。本来の読みと一文字も合ってねえ。

飲んだ水が落ちる所ということから「水落ち」と呼ばれていました。この部位は「鳩の尾」に似ているとされていることから、「鳩尾」という当て字がされたそうです。

【仙人掌】
読み:さぼてん

「仙人掌」を「さぼてん」と読めなんて無理ゲーすぎる。サボテンに仙人っぽさを感じろというのは無理がある。

「サボテン」は「覇王樹」という別名もあります。覇王とか、めちゃめちゃカッコイイじゃねえか…。

語源は諸説あり、江戸時代にオランダ人がサボテンを石鹸代わりにしていたことから、 「シャボン(石鹸)のような植物」ということで「シャボテン」と呼ばれるようになり、「サボテン」になったとか。

ん?あれ、これ「サボテン」の語源でした…。「仙人掌」と当て字をするようになった由来はややこしいので、以下の記事を参考にしてください。

参考:サボテンを「仙人掌」と書くのはなぜ?

【獅子女】
読み:スフィンクス

「ししおん…スフィンクスかいっ!」

完全に当て字です。スフィンクスは人間の顔とライオンの身体を持つ怪物であり、メソポタミア神話とギリシア神話では女性の顔であったことから獅子女に。男性の顔をしたスフィンクスもいるとのこと。

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