副業ではなく、複業(パラレルキャリア)という働き方を選んだ理由【実体験】

どうも、複業歴4年のホリカワダット(@webwriterblog)です。

ボクはいたって普通の人間ですが、紆余曲折を経て、あまり一般的でない「複業フリーランス」になりました。現在はWebライターやブロガー、工務店様の営業支援事業で生計を立てています。

今の働き方をするようになって、結果的には会社員時代よりストレスなく暮らせています。ですが、実感として手放しで「複業最高!とは言えない」とも感じています。

本稿は、ボクが複業家になった理由複業に取り組んで感じたことなど、赤裸々にお伝えできたらと思い書きました。

複業に挑戦してみたいとお考えの方や「普通レベルの人間でも複業できるの?」とご不安を持たれてる方の参考になれば幸いです。

複業と副業は、何が違うのか

本稿を読んでくださっている方はダブルワークに興味がある方だと思います。そこで、お尋ねしたいのですが……。

あなたがやりたいのは「複業」でしょうか?それとも「副業」でしょうか?そもそも「複業」とはどんな状態で「副業」と何が違うのでしょうか?

この2つの違いって、わかりづらいですよね。そこでボクの複業体験を書く前に、まずは複業とはいったい何なのかご説明したいと思います。

副業とは?

副業

複業を理解するために、まずは副業から。副業に関しては独立行政法人労働政策研究・研修機構の資料にわかりやすい説明があるので、ご紹介します。

従来の副業は,農林漁業者の兼業や,アルバイトの掛け持ちといった,所得を補填するための副次的な働き方を指してきた。
出典:「複業」の実態と企業が認めるようになった背景

もうひとつ、クラウドソーシングプラットフォームのランサーズの資料もご紹介しましょう。こちらには「副業系すきまワーカー」という働き方の定義が書かれています。

常時雇用されているが、副業としてフリーランスの仕事をこなすワーカー。
出典:フリーランス実態調査2020「フリーランスの4つのタイプ」

両方の説明から、副業とは本業のかたわらにする仕事、本業に対し従属的なほうの仕事を指すのだとわかります。

副業の主な目的は、先の資料によると「所得を補填するため」です。

ですから本業と同業界であったり、スキルが転用できる異業界同業種であったり、すでに持っている知見が使える仕事を選ぶと有利になります。

副業は、主に所得の補填を目的として本業のかたわらにする仕事。本業に対し従属的なほうの仕事。

複業(パラレルキャリア)とは?

複業

では、複業はどうでしょうか。

先述の機構の資料によると、複業の定義は「複数の仕事に従事する働き方」や「副業も含んだ広い概念」と書かれています。

さらに、複業家は「多様な目的を持つ」とも書かれていて、副業の目的が「所得を補填するため」とだけ書かれているのとは対照的です。

たしかに「多様な目的を持つ」はボクも実感しているところです。たとえば、以下のことは多くの複業家が目的としているのではないでしょうか。

  • ひとつの収入源に依存するリスクの回避
  • 活躍できるコミュニティを増やす
  • 成長機会の獲得
  • 自己実現

収入面でみると、副業の目的は「所得を補填」することでした。いっぽう複業の目的は、所得を補填することより、変化が激しい時代の備えとして収入源を分散させる意味が大きいのです。

たとえばボク自身、建築会社支援が暇なときにブログ収入に助けられたり、ブログが不調のときにライター収入に助けられたりしています。ですから複業家が営む複数の業務は、どちらが主でどちらが副と言えないのです。

複業は「副業」も含んだ広い概念。多様な目的を持って、複数の仕事に従事する働き方。複数の仕事は、どれが主でどれが副と言えない。

それから、副業は「本業と同業界であったり、スキルが転用できる異業界同業種」がよいと書きましたが、複業は先述の目的により必ずしもそうなりません。

収入源を分散する意味でも、自己実現や成長機会を得る意味でも、未知の業界や業種に飛び込むこともありで、それこそ複業のだいご味と言えます。

なお、複業(複業家)は呼び方がいろいろあるのでご紹介しておきます。

  • マルチプルジョブホルダー
  • ポートフォリオワーカー
  • パラレルキャリア
  • 2枚目の名刺
  • 週末起業

ちなみに日本国語大辞典で上述の呼び方を引いてみましたが、いずれも出てきません。この点からみても、日本では複業がまだ一般的な働き方でないことが読み取れます。

とは言え、経営学論の権威ピーター・ドラッカー氏(『明日を支配するもの』)や、組織論の世界的権威リンダ・グラットン氏(『LIFE SHIFT』)が自著の中でそれぞれ複業を提唱しています。それぐらい世界では注目されている働き方なのです。

ですから「複業なんて周りでは誰もやってないから、やめておこう」なんて思う必要はありません。「やってみたいし、自分にむいている」と感じるなら、挑戦していいのです。

副業ではなく複業を始めた理由や、やってみて感じたこと

ボクは、計画的に複業を始めたわけではありません。成り行きでそうなったり、業務を増やさざるを得ない状態になったりしたので複業家になりました。

実際の流れは、こんな感じです。

  1. 建築会社を辞めた
  2. 親友と起業した
  3. 辞めた建築会社から業務委託を受けた
  4. 親友と起業した会社が解散になった
  5. 建築会社の業務委託を個人で引き継いだ(1つめの業務)
  6. ブロガーとしても収入を得られるようになった(2つめの業務)
  7. Webライターもやるようになった(3つめの業務)

これでは分かりにくいかもしれませんので、実際に何が起こったのか詳しく経緯を書いてみたいと思います。ちょっと生々しいし個人的なことなので、興味ない方は読み飛ばしてください。

経緯のあとに、やってみて感じたメリットとデメリットについて書きたいと思います。

複業を始めた経緯

複業を始めた経緯

建築会社で営業マンやインテリアコーディネーターの仕事をしていたボクは、親友からの誘いで一緒に会社を経営することになりました。そのころ親友はすでに事業で成功しつつあり「成長させたいから、手伝って欲しい」と言うのです。

住宅業界とは畑違いの仕事でしたが、建築会社の仕事は心身ともに限界を感じていたので「辞め時かもしれない」と思い了承しました。

とは言え、小さな建築会社の売上はいびつです。ひとりの営業マンが何億も売り上げるので、人の入れ替えのタイミングで売上が激減することもあります。

退職はスムーズにいかないだろうと覚悟していましたが、予想どおりでした。紆余曲折をへて社長は遺留を諦めてくれましたが、最後に「退職はわかった。その代わり営業マンの仕事だけ外注でやってくれないか」と業務委託を持ちかけてきたのです。

建築業界でインテリアコーディネートを外注するのはよくある話ですが、営業マンの外注は聞いたことがありません。でも、事業を興すなら少しでも売上が欲しいところ。

そこで、ボクは親友と相談して会社で請けてみることにしました。そもそもお客様にいつ呼び出されるかわからない仕事だし、業務量から考えても「副業」の選択肢はなかったのです。

このエピソードが、ボクが複業家になるきっかけとなります。今から思えば、この選択のおかげで食いつなげているので不思議です。

会社経営

それから3年間、親友との事業はとても順調に進み、毎年売上が倍になっていく勢いでした。しかし、(事情がありここに経緯を書けないのですが) 突然ボクは親友と袂を分かち、その順風満帆な事業から降りることになります。

その一件から半年で、ボクの体重は8kg減りました。家族以外の人と話ができなくなり、それまで仲が良かったあらゆる人を遠ざけてしまいました。

あのころのボクは、まるで無気力の最果てをさまようウツケ者のようでした。再就職もせず、建築会社からの業務委託を個人で引継ぎ細々と暮らすことで精一杯でした。

「このままではいけない、何かしなければいずれ預金が尽きる、今の自分にもできることはないか」そう思い、追い込まれてやり始めたのがブロガーです。

それからしばらく寝る間を惜しんで有名ブロガーを研究し、記事を書き続けました。その行動がたまたま奏功したのか、生活は少し余裕が出るほどに回復できました。

これがボクの、複業のスタートです。

ブロガー

それにしても、良い時は続かないものですね。ボクは、ここで重大な選択ミスをしてしまいます。生活できるほどブログから売上が上がったので、建築会社支援の受注を減らしてしまったのです。

ご想像のとおり、ボクのブログは検索エンジンのアップデートで売上が激減してしまいます。建築会社支援業務で巻き返そうにも、報酬の回収まで半年以上かかります。

当座のピンチを切り抜けるために、ボクは以前から興味があったWebライターを始めることにしました。これが、3つめの複業です。

ボクが複業を選んだ理由は、それがその時のベストな選択だと思ったからです。必要に迫られ否応なしに始めたことであって、あまり計画性はありません。

ですが、やってみて「会社員にむかず、飽きっぽい自分に合っている」とわかりました。結果的に、今までで一番働きやすい働き方ができるようになったと感じています。

複業してみて良かったこと、悪かったこと

複業のメリットとデメリット

ピンチの度に複業を追加しながら、今までやってきました。さんざん複業に助けられておいて何ですが、複業にはウィークポイントがあると思います。

それが何かというと、これです。

労力が分散するので、1つ1つの業務の伸びが鈍い。

もうこれに尽きます。1人でやってる以上、複数の業務を均等にこなすとどれも中途半端になります。

ボクで言えば、専業の住宅営業マンやインテリアコーディネーター、専業ブロガー、専業Webライターに知識や技能ではまったく歯が立ちません。

いっぽう、複業には良いところもあります。ご説明するまでもないと思いますが、これです。

収入がゼロになりにくい。

世の中何がおこるかわからない。自分に落ち度が無くても、とつぜん職を失うことがある。いきなり収入が激減することがある。これまでの経験で、それが嫌というほどわかりました。

そんなときでも各業務の比重を自由に調整して、収入が途絶えないようにできるのは、複業のメリットです。

それから、もうひとつ。

キャッシュポイントをずらせる。

じつは、複業は全業務で儲ける必要がありません。複業Aで大きく儲けて、複業BはAの集客のためにやる、複業Cは自己実現のために儲け度外視でやる、ということができるのです。

儲けを考えなくていい、というのはそれを専業でやっている方に対してアドバンテージになります。これも複業ならではのメリットです。

今、複業フリーランスとして模索していること

副業家としての模索

今、ボクが模索しているのは「ライター+メディア運営」を軸に60歳から死ぬまで続けられる「スローな働き方」です。

個人的な境遇を考えると、経済的にも人生を豊かにする意味でも、死ぬまで無理なく働く必要があると思っています。

とは言え先述の一件以来、元来の内向性が爆発してしまいコミュニケーションが不得意になってしまいました。人より秀でた能力もないし、ずっとひとつのことをやり続けるのも苦手です。

そんなボクでも家族を養って行ける形とは、どんな形なんだろうか。老いても続けられる働き方とは、どんなものだろうか。あきずに続けられることって、なんだろうか。それをずっと考えています。

その答えのひとつが「好きなことをやる」かもしれません。もう手垢のついたクリシェですが、複業フリーランスとしては無視できない言葉です。

でも「好きなことをやる」というのは自己実現です。いっぽう、仕事は他者実現の上に成立するものであり、好きなこと(自己実現)と仕事(他者実現)が一致する方は希少で幸せな存在でしょう。

はたして自分にそれができるのか?もしできるとしたら、それは好きなことをテーマにした「ライター+メディア運営」ではないかと考えています。

これから複業をやる方に伝えたいこと

ボクは「自分にも複業ができるだろうか?」と悩む機会を与えられず、否応なしに複業家になりました。ですが、一般的にはもっとちゃんと思案してからスタートする方が多いと思います。

そこで、そんな方のために僭越ながら複業の難点や注意点をお伝えしたいと思います。

複業を始めるのは、難しいのか?

複業は難しいのか

まずお話ししたいのは「今の時代、複業を始めるのは難しくない」ということ。極端なはなし、事業内容を決めていなくてもスタートできてしまいます。

たとえばボクみたいにWebライター業務を追加するなら、Twitterで「どうも、ホリカワダットです。Webライターはじめました。」とつぶやけばOK。とりあえず最初の1歩を踏み出したことになり、あとは一貫性の原理が働き行動せざるを得なくなるでしょう。

そのままTwitterを活用すれば集客できるし、クラウドソーシングでカンタンに仕事を取ることも可能です。改善すべき課題が立ちふさがったとしても、ネットのどこかに乗り越え方が書かれています。

     ▼複業の業務をフォローしてくれるサービス

  • 集客する ⇒ SNSやブログ
  • 仕事を取る ⇒ クラウドソーシング
  • 情報を集める ⇒ インターネット

ただし問題がひとつあって、安易に始めた多くの方が継続できないのです。

タモリさんはキルケゴールの「人間とは精神である。精神とは自由である。自由とは不安である」という言葉を引用して「人間は、私に言わせれば不自由になりたがっているんですね」とおっしゃったそうです。

複業が継続できない方も、あまりに自由な「複業」という働き方に不安を感じ、何から手を付けていいかわからないまま専業や不自由なサラリーマンに戻っていくのかもしれません。

ボクもこれまで複業で3年以上生計を立ててきて、やっぱり「本業(雇用)+副業」が最強かも、と感じています。不自由があるとは言え、会社に守られた本業は今のところまだ一番安心できる働き方ではないでしょうか。

挑戦に失敗しても収入が途切れないだとか、社会保険が労使折半だとか、福利厚生があるだとか、最高じゃないですか。

複業はカンタンに始められますが、不安定になることを承知の上でそれでも会社に縛られず自由に生きたい人以外にはオススメできない、とボクは思います。

逆に、フリーランスをされてる方には複業を推したいです。投資の世界の「すべての卵を1つのカゴに盛るな」という格言は、フリーランスの収入源にも当てはまります。

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複業をやるなら注意して欲しいこと

複業の注意点

最後に、複業の注意点をお話します。気を付けていただきたいのは、ひとつだけ。「労力の分散をどうカバーするか考えろ」です。

先述のとおり複業は1つの業務あたりに割ける時間が減るので、専業でやっている競合他社(他者)に勝ちにくいのです。ですから、それをどうカバーするのか考えておかねばなりません。

たとえば、こんなことはできないでしょうか。

  • 業務どうしで相乗効果を生めないか
  • キャッシュポイントをずらせないか

同一業界の複業であれば相乗効果が出やすく、専業者とも太刀打ちできるでしょう。でも、収入源の分散という意味では業界をばらしたいところです。それなら異業界同業種にしてみるとか、複業どうしが相乗効果を生める工夫が必要です。

競合他社にクオリティや業務に割ける時間で負けるなら、価格で勝負するのもありでしょう。いずれかの業務で生活できるだけの収入を得て、別の業務は安価に請け負う。そんなことができるのは、複業だからこそです。

もうひとつ実現しておきたいのは、全ての報酬を労働の対価にしないことです。「売上をひとつ増やすのにかかる限界コストが、限りなくゼロになるようなビジネス」が作れたら、しばらく安泰です。

ザックリ言えば、不労所得化できる仕組みですね。それがあると、まんがいち病気やケガで倒れても収入が途切れません。これは保険で代替してもいいかもしれませんが、身体を資本とする複業家は必ず手を打っておくべき課題です。

自己実現

冒頭申し上げたとおり、ボクは複業家になったことで会社員時代よりストレスなく暮らせています。不安定ではありますが、この先にはサラリーマンだったときには成し得なかった自己実現が待ってるのではないかと感じています。

だから、複業は「安易に始めた多くの方が継続できない」と書きましたが、安易に初めていいと思っています。もしあなたが本稿を読んで「やってみたい」と感じたのなら、ぜひ小さく始めてみてください。

ダメならやめて他のことをすればいいし、うまくできそうと思えば拡大すればいい。仕事としての複業Aと自己実現のための複業B、合わせ技で挑戦してみてはいかがでしょうか。きっと貴重な体験ができますよ。

ABOUT ME
ホリカワ ダット
複業フリーランス(SEOライター・ブロガー・建築会社営業支援)。インテリアコーディネーター、WEBライティング実務士。大手専門店や建築会社を経て知人と会社を共同経営するも、3年で袂を分かつ。40歳で脱サラすることになるが、しばらく燃え殻に。現在、Webライターやブロガーとして復活し、鋭意勉励中。
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