「職場の人間関係が悪くて働きづらい…」「残業が多くて給料も安い…」「今の給料では将来に不安がある…」といった理由から、会社をやめたいと考えている方は多いことでしょう。人間関係とお金は会社を辞めたいと考える大きな理由で、多くの人がその悩みを抱えています。
しかし、辞めたいという気持ちがあっても、実際に会社を辞めるかは別で、たいていの人が我慢をし、今の会社で働くことを選択します。でも、「このまま働き続けるべきなのだろうか…」「もっといい勤め先があるのではないか」と考えてしまいますよね。
どうしても「会社を辞めたい」という気持ちが抑えられなくなってきたら、いよいよ転職を考えた方がいいかもしれません。でもその前に、現実的な問題に向き合っておかないと辞めた後で後悔します。
会社を辞めようかと悩んでいる方のために、「会社を辞めたい…」と思った時に考えるべき5つの現実的な問題と辞めると決めた後の3つの選択肢をまとめました。私の実体験を交えていますので、その点も参考になればと思います。
衝動的に「会社を辞めたい」と思ったら、まずは現実で起こりうる問題を逃げずに直視し、その上で本当に辞めるかどうかを考えてみてくださいね。
【目次】
「会社を辞めたい」と思う理由の大半は人間関係とお金
「もうこの会社を辞めたい…」と思う理由はそれぞれありますが、その大半は【人間関係】と【お金】です。これは業種や職種に関係なく、多くの方が抱えている悩み。
転職サイトの「@type」が行った、会社を辞めたいと思った理由に関する調査では、以下の結果になったそうです。
『こんな会社辞めてやる!』と思った瞬間
- 人間関係が上手くいかなかった(32.7%)
- 待遇が不満だった(19.0%)
- 突発的にショックなことがあった(13.1%)
- 社風が合わなかった(8.9%)
- 仕事内容が合わなかった(6.5%)
- 他にやりたい仕事ができた(5.4%)
- その他(14.3%)
この順位を見てわかるように、「会社を辞めたい」と思った理由の3分の1は人間関係で、次に多いのが待遇(お金)となっています。
「職場の人間関係が最悪…」「上司と反りが合わない…」「同僚にこそこそと陰口を言われる…」など、職場の人間関係が原因で会社を辞めようかと考える方は多いことでしょう。どんな職場でも少なからず人間関係の悩みはありますが、「会社を辞めよう」とまで考えるのは、そうとう悩まれているのだと思います。
待遇、つまりは給与やボーナスなどのお金についての悩みも、「会社を辞めてやる」と思う大きな理由です。「頑張っているのに、ぜんぜん給料を上げてくれない」「残業手当がないし、ボーナスも少ない」「自分より仕事していない人が昇給して納得がいかない」など、給与に対する不満が大きくなるほど、辞めたいと考えるのは当然だと思います。
好きな仕事であっても、給料が安いと続けるのは難しいですし、昇給が期待できないと将来も不安になりますよね…。そんな状況では、もっと待遇のいい会社に転職したいと考えるのは当然のことですし、真剣に職を変えることも考えた方がいいでしょう。
「会社を辞めよう」と考える理由はだいたい共通しているので、みんな同じ悩みを抱えていると思うだけでも気が楽になりますよね。自分だけじゃないんだ、と。
では、会社を辞めたいという気持ちが強くなった時、どう行動するのか? それがとても重要です。
突発的に辞めるといろいろ問題が起きてくるので、まずは冷静になって考えるようにしてください。現状を客観的に把握し、これから紹介する現実的な問題をクリアできそうであるなら、会社を辞める準備を進めていきましょう。
会社を辞めたい…と思った時に考えるべき5つの現実的な問題
問題1:貯金はあるのか?
貯金がない状態で会社を辞めるのは危険です。しばらく働かなくても十分に貯金があるのなら、会社を辞めてからどうするか考えることもできますが、貯金がないのに会社を辞めると生活が困窮するのは目に見えています。
バイトをして日銭を稼ぐのもありですが、そもそもそんな生活がしたくて会社を辞めるのでしょうか? 違いますよね。
ブラック企業に精神も体力も削られているなら、すぐにでもそんな会社は辞めるべきですが、単に「会社を辞めたい」という衝動だけで辞めるのはおすすめしません。
そう遠くないうちに辞めるにしても、転職の準備をしてから会社を辞める、もしくは貯金をしてから辞めるべきです。
「会社を辞めたい」と思っても、すぐに転職ができるとは限らないので、貯金は絶対に必要となります。
問題2:転職先のあてはあるのか?
会社を辞めても転職先のあてがあるなら話は別ですが、貯金がなく、転職先のあてもないのに辞めるのは危険です。
コネでも紹介でも転職先のあてがあるなら、すぐにいま勤めている会社を辞めるという選択肢もとれますが、「転職先はあるだろう」と楽観的に考えて辞めると痛い目に遭います。
運良く早めに転職先が見つかればいいのですが、転職活動が長引くと貯金がどんどん減って生活も精神も苦しくなってきます。そうなってから会社を辞めなければよかったと後悔しても遅いので、辞めたいと思ったときは退職した後のことをよく考えてください。
実はこれは、私の体験談でもあって、転職先のあてがないまま会社を辞めたのですが、転職がうまくいかなかったので貯金が底をつき、生活が苦しい時期がありました。クレジットカードでなんとか生活費をやりくりしていましたが、リボ払いが増えてフリーランスになってからもしばらく大変でした…。
私みたいにならないように、転職先のことはよく考えておいたほうがいいですよ。
このように、会社を辞めたいという気持ちだけで辞めてしまうと、生活面でしんどい思いをするかもしれません。衝動的に会社を辞めたいと思っても、現実的に転職先のあてがあるのかを冷静に考えてみましょう。
問題3:転職に活かせるスキルや経験はあるのか?
「会社を辞めたい」のであれば、転職に活かせるスキルや経験を持っているのかを自問自答してみましょう。
もし転職に活かせるようなスキルや経験がないのであれば、しばらくは会社を辞めるのを思い留まった方がいいです。ノースキルで転職できるほど甘くないですし、転職できたとしても高い給料は期待できないでしょう。
とは言え、どんな仕事でも何かしらのスキルや経験は身についているはずです。それに自分で気づくかどうか、どう転職に活かすかを考えることが大事で、自己分析もせず無策で会社を辞めるのはおすすめしません。
異業種でも活かせるスキルはあるので、やりたい仕事と自分の持っているスキルをすり合わせ、どう転職に活かすか考えてみてください。
私は前に勤めていた会社を辞めて転職をする際、簿記の資格を取って会計職を目指そうとしていました。でも実務経験がなく、資格はあれどスキルがなかったため、転職はうまくいきませんでした…。
前職は商品管理と接客がメインの仕事で、何かしら特別なスキルが身につく仕事ではなかったため、次につなげるのは難しかったのですが、今考えれば会社を辞める前にできることはあったのではないかと思っています。商品管理についても上の人に聞いて教えてもらったり、接客にしても上手な人から学んだり、工夫すれば何かのスキルを上達できたはずです。
会社を辞めたら実務を学ぶ機会がなくなりますし、人から学ぶ機会も減ります。会社を辞めてから、なぜそれをしなかったのかと後悔しました。
会社を辞めたいという気持ちが強くなったときは、いったん冷静になり、今の自分は転職に活かせるスキルを持っているのか、自問自答してみましょう。
問題4:働きたくないだけではないか?
「働きたくないから会社を辞めたい」という怠けた考えであれば、考え直したほうがいいでしょう。私も働きたくないと思う時はありますが、それで仕事を辞めようとは思いません。
「働きたくないでござる」はネタであるから面白いのであって、そんな理由で本当に会社を辞めたらドン引きです。誰かが養ってくれるのなら辞めても別に構わないですが、「働きたくない」は会社を辞める理由にはなりません。
働くのが嫌になって会社を辞めたいと考える気持ちもわかりますが、現実問題、働かないと生活できないですから。働かなくても十分な財産があったり、不動産などの不労所得があったりするなら別ですが。
もし「働きたくない」という意志を貫くのであれば、アフィリエイトなど仕事をしない日でも収入が入る仕組みを作るべきです。それでも仕事はしなければならないので、全く働かずに収入を得るのはよほど幸運な人でないとまず無理でしょう。
アフィリエイトで不労所得を得るには相当努力が必要ですし、時間もかかります。外注で回せる仕組みを作ればできなくもないですが、記事の発注やライターの管理といった仕事がありますし、競合との順位争いに勝たなければならないので、アフィリエイトも甘い世界ではありません。
問題5:辞めた後のリスクを考えているか?
ここまで書いたように、「貯金がない」「転職先のあてがない」「転職に使えるスキルや経験がない」といった状態で会社を辞めるのは、非常に高いリスクをとることになります。
会社を辞めた後のリスクを考えることはすごく重要なことです。どんなに準備をしていても会社を辞めることに多少のリスクは伴いますが、生活が困窮したり露頭に迷ったりしないように、できることはやっておきましょう。
もし貯金がないのであれば今からでもお金を貯める、スキルや経験がないのであれば勉強して知識を蓄えるなど、在職中でもできることはあります。それをやらないのは単なる怠慢です。
私は辞める前に簿記の資格をとって勉強したりしていましたが、それでもうまくいきませんでした。やりたい仕事でなかったというのもありますが、見立てが甘く転職を簡単に考えていたのが原因だったと反省しています。
私のように会社を辞めてから転職がうまくいかず、生活で苦しい思いをしないように、会社を辞めた後のリスクを考えて会社を辞めるかどうかを決めてくださいね。勢いで会社を辞めるのは絶対にやめたほうがいいです。
会社を辞めると決めた後の3つの選択肢
選択肢1:同業種で転職活動をする
「会社を辞める」と決めた後にまず考えるのは、同業他社への転職だと思います。その仕事が嫌で辞めたいのでなく、給与や職場の人間関係の問題であるなら、同業種への転職で解決するかもしれません。
同業種であればスキルや経験を活かせるので、「会社を辞めたい」と思った時に考えられる最も現実的な選択肢と言えるでしょう。
同業種へ転職する際に考えておきたいのは、「会社を辞めたい」と思った理由がなんであるかです。会社の給料が安い、職場の人間関係が悪い、仕事が合わないなど、理由はいろいろあると思いますが、転職前に業界の事情を調べておく必要があります。
というのは、会社を辞めたいと思う原因が会社にあるのか、それとも業界にあるのかを理解しておかないと、転職しても解決できないかもしれないからです。
たとえば、業界の平均賃金に対して不満があって、会社を辞めたいと考えたとします。いま勤めている会社の給料が、業界の平均賃金よりも低いのであれば、転職で解決できる可能性は高くなるでしょう。
しかし、業界全体の賃金が低いのであれば、転職をしても給料アップを実現するのは難しくなります。いまの会社の給料は業界の平均賃金をクリアしている、またはそれを上回っているのであれば、逆に転職で収入が下がってしまう可能性も考えておいたほうがよいでしょう。
いまの会社の社風や経営方針が合わなくて辞めても、その業界では当たり前で、同じような社風の会社が多いのかもしれません。隣の芝生は青く見えるもので、もしかしたら、いまの会社はまだマシなほうかもしれないですし。
そうなると、また同じように会社や仕事が嫌になって、すぐに辞めたくなってしまうかもしれません。このような結果にならないように、同業種で転職をする際は、前もって業界について調べておきましょう。
会社の評判や口コミを調べられる転職サイトもあります。「キャリコネ」では、会員限定で、登録企業43社、登録社員3,700万人による口コミや年収情報を公開しているので、会社の評判を調べてから求人応募したい方におすすめです。
※会社の規定によっては、「競業避止義務」が課されている場合があります。競業避止義務については、記事の最後で詳しく解説していますので、そちらをご覧ください。
選択肢2:異業種で転職活動をする
転職のもうひとつの選択肢。それは異業種での転職活動です。会社を辞めたいと思う理由が仕事や業界自体にあるのなら、異業種への転職を考えたほうがいいかもしれません。
私のケースのように、業界の不況の影響で同業種への転職が難しい場合もあります。その場合は異業種への転職を検討したほうがよいでしょう。
未経験で異業種へ転職するのは同業種での転職よりもハードルが上がります。かくいう私も異業種への転職に失敗した身です…。
どの業界も人材不足で悩んでいるとはいえ、経験者が有利になるのは変わりありません。それに人材不足だからこそ育成する余裕がなく、どの企業も即戦力を求めているのが現状です。
とは言え、異業種でも通用するスキルを持っていたり、未経験でも資格を取ったりバイトで経験を積んだりすれば採用してもらえる可能性はあります。私も採用には至りませんでしたが、資格をとって勉強していることをアピールすると、未経験でも書類審査は結構通ります。
あとは面接の出来次第なのですが、私は極度のあがり症で面接がダメダメで異業種への転職がうまくいきませんでした。たぶん同業種でも同じ結果に…。
やりたい仕事があるのなら、異業種であっても転職にチャレンジしてみるべきだと私は思います。未経験だとなかなか採用してもらえないですが、「この仕事をやってみたい」という強い気持ちがあるなら進んで勉強し、不採用が続いても諦めずに頑張ってください。
私は転職に失敗しましたが、やってみたいという気持ちがあったWebライターという異業種での開業に成功したので、「やりたい仕事」であることが異業種への転職を成功させる第一歩です。
選択肢3:フリーランスとして独立開業する
ここからは私の専門と言いますか、実際にフリーランスとして開業した経験談を交えてお話しします。
「会社を辞めたい」と思った時に考えられる選択肢は、同業種での転職、異業種への転職の2つ。そしてもう1つがフリーランスとして独立開業という選択肢です。
フリーランでの開業も同業種と異業種があるので厳密には4つの選択肢となります。
では、フリーランスで独立開業するというのはどういう方法なのでしょうか?
フリーランスは企業に所属せず、独立して仕事を請け負う個人事業主のことです。フリーランスは個人事業主の働き方のひとつで、主にWeb系の仕事で使われる名称です。
フリーランスの定義については以下の記事で詳しく解説しています。
フリーランス(個人事業主)になるのは簡単で、税務署に「開業届」を提出するだけでOKです。特に審査も調査もありません。
開業の仕方を説明すると長くなるので、興味がある方は以下の記事をご覧ください。
フリーランスとして開業するにあたってまず考えるべきことは、同業種か異業種かということです。
同業種であれば転職と同様にスキルや経験を活かせます。前職に「競業避止義務」がなければ、開業すること自体は特に問題ないでしょう。
あとはフリーランスで食べていけるだけのスキルを持っているか、生計を立てられるだけの仕事がある業種なのかという点が課題になります。
Web系のフリーランスであればクラウドソーシングで仕事を見つけられるので、営業ができなくても心配ありません。フリーランス向けの求人紹介サイトもあるので、そうしたサービスを利用するのもひとつの方法です。
異業種で開業する場合、ノースキルでは生計を立てるのは難しいでしょう。仕事ができるだけのスキルを身につけてからでないと正直厳しいです。
私も未経験で異業種の世界に飛び込みましたが、開業する前に必要な知識とスキルを身につけました。スキルは開業してから磨いていったので、開業前に習得したのは最低限のスキルといったところです。
ここで私がおすすめする異業種の職種で開業するための勉強法をご紹介します。
- 1:クラウドソーシングなどで案件を見る
- 2:狙えそうな案件をピックアップする
- 3:その案件に必要な知識とスキルを習得する
クラウドソーシングについては以下の記事で詳しく解説しています。
漠然と勉強するよりも、実際に仕事になる案件を探し、それに合わせて知識とスキルを習得する方が効率的です。
私は会社員としての転職は失敗したのですが、会社員からフリーランスの開業は成功しました。転職に失敗した私がなぜフリーランスになって成功できたのか? その理由は以下の記事で公開しています。
競業避止義務について
日本の憲法では「職業選択の自由」が保障されているため、退職後は同業種であろうと就職先は制限されません。
ただし、会社の規定や契約書や誓約書に「競業避止義務」が書かれている場合、競合する会社への転職や同業種での開業が制限されることがあります。これは自社のノウハウや機密、顧客情報の流出を防ぐための規定です。
社外秘のノウハウや機密情報やを知る立場や仕事をしている場合、退職時に「退職後○年間は競合他社に転職してはならない」という誓約書にサインをさせられることもあります。違反すると損害賠償を請求される可能性があるので注意してください。
では「競業避止義務」はどんな場合にも有効かというとそうではありません。「競業避止義務」が効力を発揮するのは、機密情報等を扱う役職に就いていたなどの根拠がある場合です。
機密情報を扱う役職に就いていないのに「競業避止義務」を負った場合、根拠がないとして無効になる可能性があります。また生涯、同業種での転職を禁止するのは現実的に考えて難しいので、無期限の「競業避止義務」も無効となる可能性が高いでしょう。
「競業避止義務」はフランチャイズの契約に多いのですが、上述したように機密情報を扱う役職に就いている場合は就職時、または退職時に誓約書にサインを求められる場合があるため、退職前に確認しておきましょう。
本題に戻りますが、私の場合、同業種への転職は全く考えませんでした。なぜなら私が会社を辞めようと考えた理由が、給料の安さと業界の将来性が薄かったからです。
私が働いていた当時(2010年頃)、すでにCD業界は不況で売上が下降していました。音楽配信への移行は明白でCD業界の将来性は薄く、給料は高くない業界なので、そのような状況で転職しても私が感じる問題は解決しません。
なので私は異業種に転職することにしたのですが失敗し、フリーランスとして開業することに! 人生何があるかわかりません(転職できないのわかってたけど)。
最後に
衝動的に「会社を辞めたい」と思っても、即決せずに現実的な問題と会社を辞めた後の選択肢をよく考えて上で辞めるかどうか決めましょう。ただ会社を辞めたいという気持ちだけで辞めてしまっては、後で困ることになります。
「会社を辞めたい」と思ったら退職後に自分はどんな仕事ができるのか、どんな仕事をやりたいのか、どんな働き方をしたいのか考えてみてください。転職以外にもフリーランスになるという方法もあるので、「会社を辞めたい」と思うならそれも選択肢として考えてみてはどうでしょう。