クライアントとのチャットやメールのやり取りでは、ビジネス用語をよく使います。自分は使わなくても、ビジネス用語をよく使うクライアントは多いので、ひと通り覚えておきましょう。
フリーランスになるとビジネス用語を目にする機会が増えるので、意味を知っておくとやり取りがスムーズになります。よく使う用語や略語をピックアップしたので、意味を知らない言葉があればこの機会に覚えてくださいね。
【目次】
納品・作業に関連する用語
洗い直す
「洗い直す」は、「見直す」や「再検討する」するという意味です。何か問題が起きたときや、予測が外れたときなどに、「データを洗い直す」「設計を洗い直す」というように使います。
【使用例】
「数値に差異があるので、データを洗い直してもらえますか?」
「設計を洗い直してみます」
座組
「座組(ざぐみ)」は、歌舞伎や演劇などで「出演者の構成」を意味する言葉です。転じて、ビジネスでは「プロジェクトや案件の構成」「メンバー構成」という意味で使われるようになりました。
プロジェクトの構成や、案件の要件を「座組」と呼んだりします。プロジェクトのメンバーの構成を指して「座組」と呼ぶことも。
【使用例】
「記事投稿&SEOコンサルティングの座組で考えています」
「本案件に参加する社員の座組を変更します」
差し戻し
「差し戻し」は、「納品物を返すという意味です。提出した納品物に間違いや問題があった場合、「いったん返してやり直してもらう」という意味で「差し戻し」と表現します。
【使用例】
「要件を満たしていない箇所が多かったので、差し戻しいたします」
「文字数が不足していたので差し戻しになりました」
サマリー(サマリ)
「サマリー(Sumally)」は、「要約」や「概要」といった意味の英単語です。ビジネスでは、主に「概要」という意味で使われます。「サマリ」と伸ばずに表記することも。
「サマリー」は、案件の概要などを指して使われることが多いです。Google Analyticsの「概要」を指して、「参照元サマリー」や「集客サマリー」というように使う場合もあります。
【使用例】
「本案件のサマリーにChatWorkの概要欄に記載したので、ご確認をお願いします」
テーマ出し
「テーマ出し」は、ライター案件で記事のテーマを考える作業を指します。記事のタイトル案や構成案を考えるのが「テーマ出し」です。
「テーマ出し」をした記事テーマをもとにライターさんに執筆を依頼、あるいは自分で書くために考えます。私の場合、1テーマあたりの単価と時給単価の両方で引き受けています。
【使用例】
「今月度の●●案件のテーマ出しをお願いします」
すり合わせ
ビジネスにおける「すり合わせ」は、「認識を合わせる」という意味です。お互いの認識にズレがないように確認しましょう、といった意味で使います。
【使用例】
「すり合わせ事項をお送りするので、ご確認をお願いします」
「先方とすり合わせができるまで一旦保留にさせてください」
走る
ビジネスにおける「走る」は、「企画や案件を進行する」という意味です。「走らせます」というような言い方をします。
【使用例】
「一旦この金額で企画を走らせてください」
「データが必要なので、とりえず走らせてしまいましょう」
フィードバック(FB)
「フィードバック(Feedback)」は、「情報などを返す」「反応が返ってくる」という意味の英単語です。システム工学においても、「外部に出力した信号を戻す」という意味があります。「FB」と略すことも多いです。「Facebook」の略と同じなので、間違えないように注意。
ビジネスでは、「行動の結果を評価する」という意味で使われる用語です。「納品物・提出物を評価する」という意味でも使われます。クライアントが納品物の修正や調整した場合、その内容を納品者に伝えるのがフィードバックです。
フィードバックは、ライター業でよく使われる用語です。納品した記事を校正・校閲してもらい、それをフィードバックしてもらいます。
Wordに校正履歴を残す機能があるので、校正したWordファイルをいただくことが多いです。フィードバックは制作物をより良くするためのものなので、クライアントからの指摘は素直に受け取りましょう。
【使用例】
「先月に納品していただいた記事のフィードバックをお送りします」
「フィードバックをいただきありがとうございます」
フィックス(Fix)
「フィックス(Fix)」は、「修正する」「固定する」「確定する」など、複数の意味を持つ英単語です。ビジネスでは、「確定する」という意味で使います。「Fixしました」は、「確定しました」という意味。
「フィックス」とカタカナ表記で、または「Fix」と英語表記でも使われることも多いです。
【使用例】
「ご提案いただいた記事構成でFixしました」
「こちらのデザイン修正案をFixとして大丈夫でしょうか?」
ブラッシュアップ
「ブラッシュアップ(Brush up)」は、「(知識・技術などを)磨き直す」という意味です。ビジネスでは、知識・技術だけでなく、「資料やアイデ、制作物を練り直して磨き上げる」という意味で使われます。
※「ブラッシュ(Brush)」=「ブラシ」
ブラッシュアップは、「さらに良くする」という前向きなニュアンスと、「ダメ出し」を遠回しに伝えるときの2パターンがあります。いずれにしても、「現状より質を上げてね」「完成度を上げてね」という意図を含む言葉です。
【使用例】
「記事のブラッシュアップをお願いします」
「もう少しブラッシュアップすれば成果が上がると思います」
●●ベース
「●●ベース」は、「●●を基準として」という意味です。「●●に基づいて」という意味でも使います。
たとえば、単価の話で「●●円をベースに」と言われたら、「●●円が単価の基準」と解釈します。「●●文字ベース」なら、「●●文字が最低ライン」という意味です。
ゼロの状態から考え直すことを、「ゼロベース」と表現したりします。記憶に基づいて話をするときは、「記憶ベース」と表現することも。
【使用例】
「2,000文字をベースに執筆をお願いします」
「文字単価は2円ベースでお願いしたいです」
巻き取る
「巻き取る」は、「(他のクライアントや業者から)仕事を引き取る」という意味で使います。「奪い取る」とは少しニュアンスが違っていて、言い換えるなら「こちらでやってしまいます」という意味です。
たとえば、依頼内容が記事制作のみところ、サイトのデザインを修正することになったとしましょう。そういったときに、「サイトデザインもうちで巻き取ります」といったように表現します。
あとは、クライアントが依頼している別の会社がぜんぜん業務を遂行してくれないとき、その作業も引き取ってしまうことを「巻き取る」と言ったりしますね。「うちでやっちゃったほうが早い」という理由で、本来の依頼とは異なる別の業務を巻き取る(引き取る)ことがあります。
【使用例】
「サイトのデサイン修正も弊社で巻き取ります」
「広告出稿も巻き取ることになりました」
マスト
「マスト(Must)」は、「〜せねばならない」という意味の助動詞です。ビジネスでは、「必須」という意味で使われます。
条件や作業内容に関して、「絶対に必要」という意味で使う言葉です。「納期が●日マスト」と言われたら、遅れられないので注意しましょう。
【使用例】
「月末納品をマストでお願いします」
「レポートの添付は本案件のマスト事項です」
リスケ
「リスケ」は、「リスケジュール(Reschedule)」の略です。「スケジュールを組み直す」という意味。
【使用例】
「予定していた打ち合わせが先方の都合でリスケになりました」
「日程が厳しそうなのでリスケできますか?」
リソース
「リソース(Resources)」は、「資源」や「資産」という意味です。ビジネスでは、「人員」「労働力」「時間」「資金」など、会社が持つ何かしらの資源を指して使われます。
たとえば、「リソースが空いていない」は、「手が空いていない」や「人員が空いていない」といった意味で捉えます。労働力か時間かお金かは、文脈によって変わります。
【使用例】
「今月は依頼が詰まっていてリソースが空いていません…」
「デザイン修正まで請けるとなると、リソースが足りなくなります」
ワイヤー
「ワイヤー」は、「ワイヤーフレーム」のことです。「ワイヤーフレーム」は、サイトの設計図のこと。Webサイトや個別のWebページのレイアウトを「ワイヤーフレーム」と呼びます。
「ワイヤーフレーム」はちょっと長いので、「ワイヤー」と略すことが多いです。「ワイヤーフレーム」を作ることを、「ワイヤーを引く」と表現したりします。
【使用例】
「クライアント提案用にワイヤー引いてもらっていいですか?」
「サテライトサイトのワイヤーをお願いできますか?」
予算・見積もりに関する用語
人日、人月
「人日」は「にんいち」、「人月」は「にんげつ」と読みます。五節句の場合は「人日」を「じんじつ」と読みますが、ビジネスでは「にんにち」です。
「人日」は、1人が1日で可能な作業量、または単位を指します。「人月」は月単位で、1人が1ヶ月でできる作業量のことです。
「人日」や「人月」は、作業工数の見積もりに使います。案件やプロジェクトがどれくらい工数がかかるかを、1人あたりの作業単位で表します。
「3人日」といったように、一日で作業を終わらせるなら何人必要かを示すときにも使います。「3人日」を言い換えれば、「一人で作業すると3日はかかる」、ということです。
【使用例】
「4人日で対応可能です」
「即日対応だと3人日は必要になります」
「開発は最低でも2人月は必要になると思います」
人月 = 1人が1ヶ月でできる作業量
フィー
「フィー(Fee)」は、「手数料」「料金」「費用」といった意味の英単語です。ビジネスでは「費用」や「報酬」という意味で使います。
文脈によって「費用」か「報酬」かを判断します。「料金にフィーを上乗せする」なら「費用」、「固定のフィーが20万円」なら「報酬」と捉えるといいでしょう。ほぼ意味は同じですが。
【使用例】
「@10万円/月+制作ディレクションフィーでお願いします」
「弊社が受け取るフィーは●万円を想定しています」
マージン
「マージン(Margin)」は、「利ざや」「粗利益」「手数料」といった意味の英単語です。「余白」という意味もあります。CSSで余白を調整する「margin」は、「余白」という意味です。
ビジネスでは主に、「手数料」という意味で使います。中間業者や代理店入っている場合、または自らがその立場で受注するときに、「マージン(手数料)」がいくらかを聞いたりします。
【使用例】
「マージンは●%でお願いします」
「この案件はどの工程にマージンが発生しているのでしょうか?」
持ち出し
「持ち出し」は、「費用を自己負担する」という意味です。予算をオーバーしたぶんを自己負担する、という意味で使います。
ほかにも、費用を超える作業をしても追加費用がない場合、「持ち出しでの作業」といったように表現します。追加報酬を払ってもらえない作業範囲である場合、または、請求するほどでもない作業をした場合、言い換えれば無報酬で作業することになるので、これもある意味で「持ち出し」です。
【使用例】
「開発費用は弊社の持ち出しでお請けします」
「月額料金を超えたぶんは弊社で持ち出しします」
「月額を超える作業は、こちらの持ち出しになりますか?」
アクセス・成果に関する用語
GSC / サチコ
「GSC」は、「Google Search Console」の略です。「グーグル・サーチ・コンソール」を略して、「サチコ」と呼ぶことも。
「GSC」は、サイトの検索トラフィックや掲載順位を測定できるツールです。記事執筆のみのライター案件では使うことは少ないですが、テーマ出しやSEO案件でよく使います。
【使用例】
「GRCで順位をチェックしてみてください」
「サチコでデータを抽出しました」
サーチコンソールでインデックス登録する「URL検査」の使い方は、こちらの記事で解説。
コンバージョン(CV)
「コンバージョン(Conversion)」は、マーケティング用語で「成果」を意味します。「CV」と略すことが多いです。「CVR」という略もよく使います。こちらは「コンバージョン率」という意味です。
「コンバージョン」は、何を成果とするかによります。資料請求、会員登録、商品購入など、目指す成果によってさまざまです。
【使用例】
「本案件は、記事からのコンバージョンを増やすのが目的です」
「おかげさまでCVが発生しました!」