たしかに、フリーランスの定義ってわかりにくいですよね。
フリーランスとして働いているけれど、「意味や定義を聞かれるとうまく説明しづらい」という方も多いかと案外多いのではないかと思います。
私はフリーランスとして仕事をしているので違いはわかりますが、正しく説明できる方は少ないでしょう。そこで本記事では、フリーランスの定義と個人事業主の違いを解説します。
脱サラしてフリーランスになるのであれば、フリーランスと個人事業主の違いを知っておきましょう!
【目次】
フリーランスの定義は”独立して仕事を請け負う人”
フリーランスとは、企業に所属せずに独立して仕事を請け負うこと、またはその人を指す言葉で、フリーランスとして働く個人事業主をフリーランサーと呼びます。
フリーランスは働き方、または雇用形態を指す言葉で、職業や職種ではありません。
職種はWebデザイナー、コーダー、プログラマー、エンジニアなどIT関係、またはクリエイター、イラストレイター、フォトグラファー(カメラマン)などのクリエイティブ関係が多いです。私のようにフリーランスのライターもたくさんいます。
このようにフリーランスの職種はさまざまで、フリーアナウンサー、フリー俳優、フリー声優、フリージャーナリスト、評論家など、マスメディア関係の職種もあります。
フリーランスは案件ごと、または長期で契約を結び、仕事を受注します。会社員は会社との雇用契約の元で働きますが、フリーランスは自由契約なので企業との雇用関係はありません。
フリーランスの語源は中世の槍騎兵
フリーランス(Freelance)は、中世の時代に特定の主君を持たずに戦いの度に雇用されていた雇い兵(槍騎兵)が語源です。
「lance」は「槍」という意味で、「Freelance」は直訳すれば「自由な槍騎兵」という意味になります。「lancer」は「槍騎兵」という意味なので、人を指す場合は「Freelancer(フリーランサー)」が正しいですね。
上述したように現代のフリーランスは、会社に属さずに仕事ごとに契約を請け負う個人事業主という意味で使われています。どうして「lance(槍)」や「lancer(槍騎兵)」という言葉が使われているのか、その歴史を紐解いていくと納得できますね。
フリーランスと個人事業主の違いは”働き方”
個人事業主は、個人で事業を行っている人のことで、株式会社や合同会社などの法人ではない事業主を指します。「個人事業の開業届出」を税務署に提出することで個人事業主として認められます。
フリーランスは働き方の呼称なので、個人事業主は個人商店(飲食店、小売店)を経営している人、美容室を経営している人、士業事務所(税理士、会計士など)を開いている人、建築事務所を開いている人、個人タクシーをしている人など、働き方はさまざまで、働き方のひとつとしてフリーランスという表現を使います。
つまり、個人事業主の働き方のひとつがフリーランスであるため、個人事業主だからといって必ずしもフリーランスであるとは限りません。フリーランスは働き方、および雇用形態を伝えるための表現といえます。
分かりやすいのはアナウンサーの例で、テレビ局を退社してフリー(フリーランス)になった方は、「フリーのアナウンサーです」と自己紹介しますよね。
フリーと前置きするのは相手に企業に所属しているのか、個人事業主として働いているのかを伝えるためのもので、そこには個人事業主であるという意味も含まれています。
私のようなライターの場合、出版社に勤めているライターと、フリーランスのライターでは雇用形態が違うので、相手に自己紹介するときの伝え方が違ってきます。前者であれば「◯◯社のライター」、後者であれば「フリーランスのライター」と自己紹介します。
Webライターの業種や職種についてはこちらの記事で解説しています。業種による個人事業税の徴収・非徴収の区別についても解説しているので、一読されることをおすすめします。
フリーランスとノマドワーカーとの違いは実は曖昧
ノマドワーカーは、カフェやコワーキングスペースなどWi-Fi環境のある場所を転々とし、働く場所を定めずに仕事をする人を指します。「ノマド(Nomad)」は「遊牧民」という意味で、特定の仕事場を持たずに働く人のことです。
フリーランスとノマドワーカーの定義はあいまいなので混同されることが多いですが、厳密には異なります。
まずフリーランスは上述したように企業に所属せずに独立して仕事を請け負う働き方のことです。
ノマドワーカーも企業に所属しなていない方が多いですが、企業に勤めている方もいます。リモートワークを採用している企業であるなら、働く場所は自由であるため会社員でもノマドワークが可能です。
この点がフリーランスとの大きな違いで、企業に属しているか属していないかに関わらず、働く場所を固定しない人をノマドワーカーと呼びます。フリーランスを名乗るには個人事業主である必要がありますが、ノマドワーカーは必ずしも個人事業主である必要はありません。
フリーランスの方は自宅か自分のオフィスで仕事をされる方が多いですが、気分転換に時々カフェやコワーキングスペースで仕事をする方もいます。そういう方は半分ノマドワーカーとも言えますが、どちらかと言えばフリーランスと言えるでしょう。
まとめるとフリーランスとノマドワーカーには以下のような違いがあります。
・フリーランス
個人事業主として企業に所属しないで働いている人
・ノマドワーカー
個人事業主か会社員に関わらず、仕事をする場所を変えながら働いている人
まとめ:フリーランスは働き方・雇用形態の表現
フリーランスは働き方、または雇用形態の表現で、個人事業主の働き方のひとつにフリーランスという形態があります。
法人化している人はフリーランスではないので、個人事業主の働き方の表現として使われます。
「フリーランスとして独立開業」という表現は厳密には正確ではありませんが、フリーランスには個人事業主であるという意味が含まれているので間違ってはいません。要は相手に自分がどのような働き方をしているのかを伝えるためにフリーランスという言葉を使います。